ランバ・ラルがアムロに勝つ? 「IF展開」を堪能できる「ガンダム」ゲームたち
誕生から44年目を迎えるガンダムシリーズの世界観は、各種メディア展開を含め、多数のゲーム作品によっても支えられてきました。今回はアニメなどではありえない「もしも」が存分に味わえる名作ガンダムゲームを振り返ります。
本編とは違った世界観とIF展開
初代アニメの放送開始から今年で44年目を迎えるガンダムシリーズは、2023年4月より『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第2クールがスタートしており、昭和・平成・令和と半世紀近くにわたって多大な支持を集めてきました。
その歴史を紐解くと、TVアニメ・OVA・劇場版・コミカライズといった各種メディアやプラモデルの展開に加え、ビデオゲーム作品の豊富さにも驚かされます。アクションやシミュレーションなどゲームジャンルもさまざまです。今回は数あるガンダムゲームのうち、作中の史実と異なった「もしもの世界」を大胆に描いた作品をご紹介します。
●機動戦士ガンダム ギレンの野望
「ガンダム」のゲーム史を語るなら、1998年4月9日発売のセガサターン向けソフト『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(以下、ギレンの野望)を外すことはできないでしょう。『ギレンの野望』はTVアニメの史実をベースとし、硬派なシミュレーション要素で従来の「ガンダム」ゲームとはひと味違う存在感を放っていました。
プレイヤーは「ギレン・ザビ」か「レビル将軍」のどちらかを選び、ジオン公国か地球連邦軍を導くことになります。言わば国家の対局を見据える司令塔であり、モビルーツ(MS)をはじめとする兵器開発やユニット単位の戦闘を入念に進める必要がありました。
登場キャラクターは「アムロ・レイ」「シャア・アズナブル」(以下、シャア)といった主役級パイロットをふくめ、それまで映像化の機会に恵まれなかったMSV(モビルスーツバリエーション)周りの設定などもしっかりと網羅。同作はファーストガンダムの世界観を戦略シミュレーションへと内包し、多くのガンダムファンを虜(とりこ)にしました。
その『ギレンの野望』、ならびに後続シリーズで起こりうるIF展開(もしもの世界)は実に多種多様です。例えば愛機「グフ」を駆ってホワイトベース隊を苦しめたジオンの猛将「ランバ・ラル」の場合、ルート分岐次第では「ドム」に乗り換えてホワイトベース隊を打ち破り、モビルスーツの鹵獲(ろかく)に成功するという戦果をあげます。
ほかにも「キシリア・ザビが正統ジオン、ガルマ・ザビが新生ジオンを立ち上げる」「シャアが一年戦争中にネオ・ジオンを組織する」など、ジオン側だけでなもアニメ本編では描かれなかったさまざまな出来事が起こります。「ジオン軍の主力MSにギャンが採用される」といった展開もあり、政治と軍事の両面で作中の世界をプレイヤー自身の手で変えることができます。
当然ながら地球連邦軍のIF展開も多彩な仕上がりで、収録されている一枚絵に「ウッディ大尉とマチルダ中尉の結婚式」があるなど、主役級からサブキャラにいたるまで、ありえたかもしれない世界が丁寧に描かれていました。