『サザエさん』の「お隣さん」は別作品のキャラ? 国民的アニメの知られざる隣人事情
世代を超えて親しまれている『サザエさん』は、50年以上放映が続いている国民的長寿アニメです。そんな磯野家のお隣さんといえば伊佐坂先生が馴染み深いですが、実は伊佐坂家は別作品のキャラクターだったことはご存知でしょうか。
磯野家のお隣さん事情

アニメ『サザエさん』は「最も長く放送されているテレビアニメ番組」として、2013年にギネス世界記録に認定された長寿アニメです。そんな長い歴史のある作品だけに、放送初期と現在とでは磯野家を取り巻く環境にも変化が生じています。
たとえば磯野家のお隣さんは何度か変わっていて、現在の伊佐坂家の前は、浜さんの一家が暮らしていたことを覚えている方もいることでしょう。
おしゃれなヒゲを生やした洋画家の浜さん、ふっくらしていて上品な浜夫人、女子高生の娘・ミツコさん、そして葉巻が好物という変わった愛犬のジュリーがいました。
その浜さん一家は、1985年3月31日放送回の「早春伊豆長岡の別れ」という前後編のエピソードで伊豆に引っ越していきます。浜夫人が療養するという理由でした。
その後、1985年7月21日放送回の「お隣の大先生」のエピソードで伊佐坂一家が引っ越してきたことで、磯野家のお隣さんとして定着します。
ちなみに伊佐坂一家は、浜一家の前の磯野家の隣人でもあったことは案外知らない方もいるようです。『サザエさん』の公式サイトにも“初代の伊佐坂先生”と書かれていて、初登場は1970年8月30日の放送回でした。家族構成や小説家であることなど、今の伊佐坂家と設定はほぼ同じですが、現在の伊佐坂家が引っ越してきた時に磯野家の人びとは初対面のような対応をとっていました。
ちなみに公式サイトでは、現在の伊佐坂先生のことは“伊佐坂先生(二代目)”と紹介されています。
また、伊佐坂家はアニメのなかで引っ越してきた一家ですが、実は別のマンガから引っ越してきたキャラクターでもあります。
もともと伊佐坂家は、長谷川町子先生の『似たもの一家』というマンガに登場するキャラクターで、『似たもの一家』は、1949年の「週刊朝日」(朝日新聞社)に連載されていたショートストーリーです。
同作における家族構成は『サザエさん』の伊佐坂家とほぼ同じで、容姿や設定などもかなり共通しています。ちなみに伊佐坂家は『サザエさん』の原作コミックのほうにもゲスト出演していました。
2020年には長谷川町子先生の生誕100年を記念して、入手困難だった『サザエさん』のオリジナル版原作コミックが復刊されました。アニメだけでなく『サザエさん』の原作に触れることで、ほかにも意外な発見があるかもしれませんね。
(LUIS FIELD)