【漫画】リア充を見ると金平糖を吐く少女 甘味好きな男子に目を付けられて?「尊い」「最高」
リア充を見ると金平糖を吐く特異体質の女子。それを見かけたクラスメイトの男子が、彼女の口から出た金平糖を楽しそうに食べ始めて……。奇抜な設定が繊細なラブストーリーへと展開していく水帆かえるさんの『初恋リバースコンフェイト』が好評です。
「砂糖を吐く」という比喩から生まれた物語

女子高生の星名さとりは、リア充を見ると金平糖を吐き出してしまう特異体質の持ち主です。毎日隠れて金平糖を吐いていましたが、その姿をクラスメイトの宇治有人に見られてしまいました。宇治は頭は良いけれど、周囲に「宇宙人」と呼ばれるほど行動が奇抜な男子です。彼は星名が吐いた金平糖を見るなり、それを食べてしまいます……。
水帆かえるさん(@62KAERU_)の創作マンガ『初恋リバースコンフェイト』がTwitterで公開されました。この作品の初出は、小学館の「Sho-Comi」2022年11号(5月発売)に掲載された読み切りマンガです。他人の恋愛を見て自分が気恥ずかしくなる状態は「砂糖を吐く」と表現されることがあり、本作の設定はそこから生まれています。
徐々に恋心が芽生えていく胸キュンなストーリーに、読者からは「かわいい。最高」「金平糖っていうのがいい」「ぴやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!(語彙力消滅)」などのコメントが寄せられました。作品のTwitter投稿には2000件を超えるいいねがついています。
作者の水帆かえるさんに、お話を聞きました。
ーー水帆かえるさんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。
もともと小学生のときから絵を描いたりマンガを読んだりすることが好きだったので、将来は漠然と漫画家になりたいなと思っていました。
家にマンガがなかったので「将来の参考のため」と言ってマンガ本が置いてある近所の児童館に入り浸っていたところ、母から「漫画家になりたいなら読んでばかりいないで描いてみなさいよ」と言われました。「それもそうか」と思って中学1年生の夏休みを使って35ページの読み切り作品『サヨナラリフレイン』を制作しました。
その作品が第81回小学館新人コミック大賞の佳作を受賞し、「Sho-Comi」でデビューさせていただく運びとなりました。奇跡すぎて今でも驚いています。
ーー本作の設定・お話はどのように生まれましたか?
本作の前に描いていた作品がかなり少年マンガに寄った内容だったので、次回作は思いっきり恋愛を前面に出した少女マンガを描きたいなと思ったのが最初です。
ただ、同じ雑誌の大多数の先生方が恋愛マンガを描いているなか、絵もネームも大してうまくない自分が普通に恋愛マンガを描いても埋もれるだけだと思ったので、何かフックになるものを作ろうと考えました。そこで思い出したのが、かなり前にボツにした「リア充を見ると砂糖を吐いてしまうキューピッド」というアイデアでした。
このアイデアは「情報が多すぎるのと、砂糖が絵的に映えない」という点でボツになったのですが、ヒロインが「リア充爆発しろ!!」と叫びながら文字通り砂糖をザラザラ吐いている絵面が面白かったので、見た目が綺麗な金平糖に変えて採用しました。また、キューピッドではなく、普通の女子高生に変更しました。
そして、ヒロインの感情の結晶である金平糖を「食べる」少年をヒーローに据えました。綺麗なだけじゃない「恋」や「憧れ」といった感情の醜い部分もまるごと肯定して受け入れてくれる存在です。

ーー星名さとりの視点の恋物語で、心の動きがとても分かりやすい作品でした。宇治有人はどの瞬間に星名に恋愛感情を抱いたのでしょう? はたまた「恋愛」とはまた別の感情なのでしょうか?
宇治は、最初は星名の吐いた金平糖に対して興味を抱いていましたが、星名と交流を深めていくうちに星名自身に興味を持っていきます。そんななか、安堵から宇治に思わず抱き付いてしまい、その後「なんでもないですから……っ」と赤面しながらうろたえる星名を見て、彼女の「綺麗で甘くて面白い」感情が自分に向けられていることにキュンとしたんだろうと思います。
現時点で宇治が星名に抱いている感情に名前を付けるなら「興味」や「独占欲」で、幼い子供が綺麗なビー玉を見てポケットに入れてしまうような感情に近いのではないでしょうか。「恋愛」の定義が曖昧で、この辺りは私自身考えてもよく分からずフィーリング重視で描いたのですが、少なくともそれは傍から見れば「恋」と言えるものだと思っています。
ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
Twitterでエゴサーチをしていたら、冒頭で星名が「リア充爆発しろ!!」と言いながら金平糖をザラザラ吐いているコマをスクショして「この出だしから真っ当なラブストーリーを押し通した胆力は買う」と言っているツイートがあって思わず笑ってしまいました。自分でもそう思います。
また別の方から、「目が星型のヒーローがこんなにかっこいいとは思わなかった」と言っていただいてうれしかったです。宇治は宇宙人+蟻のイメージでデザインしたので、少し変わった感じを出すために、少女マンガではあまり見ない、瞳のなかを五芒星でガッツリ白抜きする手法をとりました。受け入れてもらえるか不安だったので、好評で良かったです。
ーー6月発売の「Sho-Comi」2023年13号からは、『ほぼ実録!限界オタク大学生の日常』の連載も開始されました。よろしければ、そちらについてもご紹介をお願いします。
こちらはその名の通り、現在大学2年生としてマンガやオタ活に励みながら毎日を生きている私・水帆かえる自身の日常をつづっています。毎話6ページのショートエッセイ連載です。
「かんたん料理」をうた謳うくせにオーブンの予熱が必要なレシピにキレていたり、推しがアンソロジーコミックのなかで作っていたパスタを再現して食べたりしています。共感していただくも良し、はたまた「なんてバカなオタクだ」と見物する気持ちで読んでいただいても良しなので、楽しんでいただけたら幸いです!
ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
学校で描く課題のイラスト・マンガや、過去作品の再掲を主に行っていこうかなと思っております。さまざまなジャンルのマンガやイラストに挑戦したいと思っているので、ぜひフォローして応援していただけるとうれしいです!
(マグミクス編集部)