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ファミコンカセットの高騰が止まらない? 文化としての「レトロゲーム」置き去りの危機

ファミコンカセットをはじめとするレトロゲームの高騰が止まりません。背景には海外でのゲーム人気と、レトロゲームが投機対象となっている状況があります。果たして今後はどうなってしまうのでしょうか?

高騰にはさまざまな要因が

ファミコン最後の正規ゲームカセットとして知られる『高橋名人の冒険島4』(ハドソン)
ファミコン最後の正規ゲームカセットとして知られる『高橋名人の冒険島4』(ハドソン)

 ファミコンカセットをはじめとする、レトロゲームの高騰が止まりません。1990年代にはワゴンセールで新品が投げ売りされていたカセットたちが、今はショーケースのなかで信じられないような価格がつけられているのを見るたびに「ああ、あのとき買い占めておけばよかった」「持ってるのを捨てるんじゃなかった」と、思いをはせる方も多いのではないでしょうか。

 特に高騰しているのが、1990年以降、すなわちスーパーファミコン登場後に発売されたファミコンカセットです。1994年に発売されたファミコン最後のライセンスソフト『高橋名人の冒険島IV』は、箱・説明書なしでも3万円前後、完品では10万円から30万円と、信じられない値段が付いています。

 この時期に発売されたタイトルは高水準の開発ノウハウを持つクリエイターたちが手掛けたものが多く、ファミコンとしてはクオリティも非常に高くなっています。しかしこの時期は他の高性能なハードがすでに登場していたため生産本数が少なく、希少価値が生まれてしまっているのです。

 なぜ、レトロゲームは高騰しているのでしょうか。まずひとつ目に挙げられるのが、新型コロナ禍における動画視聴です。いわゆる「巣ごもり」の際に古いゲームの動画配信を見ていた方が、懐かしさからレトロゲームを購入するようになったことが大きな要因でしょう。

 この購入者の層には、外国の方も含まれます。コロナによる渡航規制が撤廃され、多くの観光客が来日していますが、そのなかにはゲーム好きの方も多く、お土産として日本のレトロゲームを買いあさる光景は珍しいものではなくなっています。現在プロ野球の横浜DeNAベイスターズに所属するサイ・ヤング賞投手であるトレバー・バウアー選手も、ゲームボーイアドバンスと『ポケットモンスター ファイアレッド』を購入する動画を配信するなど、レトロゲームの人気の高さが伺えます。

 バウアー選手のように、好きな方に買っていただくのは非常に喜ばしいことです。しかしながら、現在の「買い漁り」には、良くない兆候が見え隠れしています。

 レトロゲームが、投機の対象となってしまっているのです。

【画像】ファミコン末期の無名ソフトが多い? 中古価格が高騰しているカセットたち(8枚)

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