なぜ「クズ」のノリスケを? 視聴者が疑問に思うタイコさんの「結婚理由」が衝撃
国民的アニメ『サザエさん』でトラブルメーカーとして注目を集める波野ノリスケにはタイコという美人妻がいますが、タイコがノリスケを選んだのは、あまり知られていない驚きの理由がありました。
見合い結婚だったノリスケとタイコ

国民的アニメ『サザエさん』の隠れた人気者といえば、波平の甥っ子でサザエとカツオ、ワカメのいとこにあたる男・ノリスケでしょう。良く言えば、細かいことを気にしない「楽天家」、悪く言えばウソ・不法侵入・盗み食いは当たり前のトラブルメーカーで、波平からは何度も「磯野家出禁」を言い渡されています。「ハイエナ」「クズ」とも呼ばれる彼の言動は、いつもネットの『サザエさん』ファンの注目の的です。
ところで、ノリスケの妻・タイコは『サザエさん』世界のなかでも、屈指の美人として知られています。公式サイトにも「美人でおしとやか」とはっきり書かれています。見た目はふっくらとしていて、おせじにも「イケメン」とは言えないノリスケと美人のタイコが結ばれたのは何が決定打となったのでしょう? まさかいつも調子のいいノリスケが、舌先三寸でタイコを丸め込んでしまったのでしょうか。
ちなみに、ノリスケとタイコはお見合い結婚でした。長谷川町子先生の原作4コママンガ『サザエさん』では、ふたりのお見合いから結婚までのエピソードが、かなりのボリュームを割いて描かれています。『サザエさん』でひとつのエピソードが続けて描かれたのは、これが初めてのことでした。
当時、磯野家の居候だったノリスケは、何度もお見合いを繰り返しては破談になっていましたが、タイコとの見合いと結婚話はトントン拍子で進みます。ただし、ふたりが結婚を決意した場面などは描かれていません。当時はどちらかが断りを入れなければ、お見合いからそのまま結婚することが多かったのでしょう。
原作では、ノリスケがサザエとマスオに向かって得意げに「タイコさんがボクのよこがおがいいっていんですよ」と言っている場面がありますが、ノリスケが話を盛っている可能性があるので全面的に信用はできません。
では、TVアニメではどうでしょうか? 1970年3月15日放送の「ノリスケ物語」では、イクラの出産エピソードとともにノリスケとタイコの「見合いと結婚」までが、ほぼ原作どおりに描かれていました。わざとらしい出会いを演出した見合いのセッティング、結婚の話にやたらと興味を持つワカメ、新婚家庭に居座るワカメなど、どれも原作にあったエピソード通りです。
場面はイクラを出産したばかりの病院に戻ります。ここで、ノリスケがついに核心を突く質問を放ちました。「でも、どうしてキミ、ボクと結婚するつもりになったんだい?」。今さらにも思える突然の質問に、「それは……うーん、そうねぇ」と口ごもるタイコさんは、とんでもないことを言い始めるのです。
「波平のおじさんやマスオさんに比べたら、あなたのほうがまだマシに見えたからよ」
驚き、納得するノリスケは「なぁんだ、実はボクもサザエさんよりマシだと思ってね」と言い放ちます。それを聞いたタイコは「じゃ、磯野家は縁結びの神様ってわけだわ。そうでしょ、あなた」と甘えた声を出します。夫婦はイクラも含めて、3人で頑張っていこうと手を取り合いました。しかし、実はふたりの会話はすべて、カツオとワカメによって盗み録り(!)されていました(建前は赤ちゃんの泣き声を録音するため)。
テープを波平に聞かせるため、さっさと病室を去るカツオとワカメを見て、タイコは「悪口も全部!」と小さく叫びます。どうやら「悪口」だと自覚していたようです。そこから騒動が起こるのかと思いきや、またノリスケとタイコは微笑みながら手を取り合い、この回は終わります。
タイコがノリスケを選んだのは「ルックスが磯野家の人々よりマシ」という驚きの理由でした。波平たちは意図せず「引き立て役」になっていたようです。これまで常識人に見えていたタイコですが、少し人間性が疑われるようなエピソードでした。
2021年2月14日には、ノリスケの居候時代からお見合いまでを振り返るエピソード「ノリスケ青春時代~下宿からお見合いまで~」が放送されています。タイコではない女性とお見合いして結婚しようとするノリスケを、カツオが「タイムリープ」して食い止めるという、これはこれで驚きのエピソードです(ただし夢オチ)。機会があればこちらもぜひ見てみてください。
(大山くまお)