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アニメ市場「過去最高」なのに制作会社の「倒産」続くワケ 業界特有のリスクも

数々のヒット作品を生み出し、世界的に注目を集めている日本のアニメ産業は2017年に過去最高の市場規模となりますが、その一方でアニメ制作会社の倒産もあいついでいます。経営の現場ではいったい何が起こっているのでしょうか。多くのアニメ関連企業を担当する税理士、加瀬洋さんにお話を聞きました。

そもそも「アニメ制作会社の経営」どこが難しい?

悩む経営者のイメージ (C)Asawin Klabma /123RF
悩む経営者のイメージ (C)Asawin Klabma /123RF

 スタジオジブリ作品の人気に加え、新海誠監督の『君の名は。』(2016年)などの世界的ヒット作も登場し、ますます注目を集めている日本のアニメ産業。2017年には市場規模2兆円を初めて突破しています(日本動画協会「アニメ産業レポート2018」)。しかしその一方で、実際にアニメを作る制作会社の倒産もあいついでいます。

 帝国データバンクの調査によると、アニメ制作会社の倒産・休業・解散件数は、2016年に5件、2017年に6件、2018年には11件と増え続けています。その背景についてはさまざまな議論がありますが、そもそもアニメ制作会社の経営にはどのような難しさがあるのでしょうか。

 現在多くのアニメ関連企業の経営や税務を支えている税理士、加瀬洋さん(アカウンティングフォース税理士法人)にお話を聞きました。

――アニメ制作企業で経営の明暗を分けるのは、どのような部分なのでしょうか?

加瀬洋さん(以下敬称略) 私の考えでは、経営の明暗を分ける重要な点はふたつあります。まず、社内に「数字がわかる人」がいるかどうかという点。他の業界に比べると、アニメ制作会社には「もっと面白いものを作りたい」という思いで働いている人が多い反面、数字を管理する能力や経験を持っている人が少ない傾向にあると思います。

 しっかり数字を管理する立ち位置の人がいて、さらに、その人の意見を経営者がきちんと聞けるか、というところで明暗が分かれてくると思います。

――もうひとつのポイントは何でしょうか?

加瀬 一般的に、アニメーション制作では「制作費が先にもらえてしまう」ケースが多々あります。少し話がズレますが、企業が納める税金でもっとも滞納が多い税目は、実は消費税です。消費税はお客様から預かったものを収める税金ですが、世の中にはお金が入って来た時点で「我が社のものだ」と思って使ってしまい、納税の時に払えなくなる会社もあるのです。

 人間の本質として、目の前にあると「使えるものだ」と思ってしまう。これがアニメ制作会社のケースだと、後々困るのが分かっているのに「さらに良いものを作りたい」という想いが強く、先にお金をかけて勝負しちゃう……ということが起こりうるのです。

――まとまったお金が入ってきた場合にも、自分を律する冷静さが必要になるということでしょうか。

加瀬 そのとおりだと思います。会計・納税への意識よりも、クリエイターとして良いものを作りたいという本質的な欲求が勝ってしまい、結果的にお金がなくなってしまうということが起きているのではないでしょうか。

【図】また増えてきた? 統計で見る「アニメ制作会社」の倒産件数

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