マグミクス | manga * anime * game

「アニメ制作会社」倒産の一方で新会社も次々と…。今後の経営のカギは?

近年、アニメ制作会社の倒産があいつぐ一方で、新しいアニメ会社も次々と設立されています。日本のアニメ産業が過去最高の市場規模になったとはいえ、なぜそのような現象が起きているのでしょうか? 多くのアニメ関連企業を担当する税理士、加瀬洋さんにお話を聞きました。

実は起業しやすいアニメ制作会社

忙しくデスクワークをする経営者のイメージ (C)liza5450/123RF
忙しくデスクワークをする経営者のイメージ (C)liza5450/123RF

 世界中のファンに愛される作品を生み出し続けている日本のアニメ産業は、2017年に過去最高の市場規模2兆円を突破(日本動画協会「アニメ産業レポート2018」)しています。その一方で、アニメ制作会社の倒産があいついでいるのに、新しい制作会社も次々と設立しているという現象が起こっています。

 背景には何があるのでしょうか。また、アニメ制作会社の経営は、今後どのような点が重要になるのでしょうか。多くのアニメ関連企業の経営や税務を支えている税理士、加瀬洋さん(アカウンティングフォース税理士法人)にお話を聞きました。

――帝国データバンクの調査によると、アニメ制作会社の倒産などの件数は、2016年から5件、6件、11件と、3年連続で増加している一方で、2018年のアニメ制作企業の数は2000年の約1.5倍に増加しています。そもそもなぜ、アニメ制作会社を作りたい人が多いのでしょうか?

加瀬洋さん(以下敬称略) 今あるアニメ制作会社の約6割は2000年以降に作られたという話も聞きますが、個人事業主や実質1人の会社を含めると、起業・創業を支援している肌感としても、確かに増えていると思います。それはなぜかというと、この業界の起業のしやすさがあるからだと思います。

――なぜアニメ制作会社は起業しやすいのですか?

加瀬 理由は3つあって、ひとつ目は制作費として「先にお金が入る」ということ。過去のネットワークがあれば資金が得られるケースが多く、特に業界で名前が立っていればなおさらのことです。いわゆる「全く違う業種に就く」というよりは、今までの仕事の延長線上で独立できて、しかも今まで起業に属していた方が独立することで「実入り」がよくなるということがあるので、起業したいと思う人はいると思います。

 ふたつ目は「初期コストが低い」ということ。極論するとアニメ制作は机と紙とパソコンがあればできるので、飲食店などに比べて始めやすいですね。

 3つ目は「起業後のイメージを持ちやすい」ということ。アニメ業界は横のつながりがとても強いため、一緒に仕事をしたことのある方から仕事をもらって稼げるイメージができるので、起業がやりやすい、という面もあると思います。

【図】ひと目でわかる増加ぶり。日本のアニメ制作会社

画像ギャラリー

1 2