「アベンジャーズ」興収世界一の背後にある、真の「偉業」とは
世界中で大ヒットを記録する『アベンジャーズ/エンドゲーム』が、2009年『アバター』の全世界歴代興行収入ランキング1位を塗り替え、首位を獲得しました。世界的な、そして日本でのヒットの背景には、11年に及ぶ、壮大なアメコミ文化の歩みがありました。
街では「MARVEL」Tシャツやヒーローの姿が当たり前に

世界中で大ヒットを記録した『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、全世界歴代興行収入ランキング1位となりました。日本国内でも、2019年4月の公開とともに話題が沸騰し、興行収入がディズニー史上最速となる7日間で30億円を突破しています。同作品が映画史に残る偉業を達成し、日本でも大きなヒットを成し遂げた背景は何だったのでしょうか。
『エンドゲーム』は、マーベル・コミックを原作としたキャラクターたちのクロスオーバー作品群「MCU」の中核をなす、「アベンジャーズ」シリーズの完結編です。単体作品ではなく、11年間上映してきたMCU作品の伏線をことごとく回収していくという、長期にわたって紡がれる物語が描かれています。感動を何度も味わうためにリピート視聴するファンが多い一方、シリーズ初心者も多く来場していたのも大きなポイントといえるでしょう。
国内ヒットの背景のひとつは、一種の「お祭り感」。「この大作映画は見ておかなければ」という認識が新規層にも広がり、ヒットにつながったと考えられます。『エンドゲーム』を見た後に、『アイアンマン』『ドクター・ストレンジ』など過去の作品を見る動きもあり、アメコミヒーローそのものに興味が移っていくという現象に、マーベル側も嬉しいに違いありません。
2000年代の初めごろ、アメコミヒーローといえばスパイダーマンやX-MENの映画のヒットがあったものの、アメコミヒーローへの熱意はまだまだオタク気質な印象でした。
それが、2019年の日本ではどうでしょう。「MARVEL」のロゴが入ったTシャツやアメコミヒーローの姿を街じゅうで見かけるのはもはや当たり前になっています。日本では原作コミックの広がりはそこまでではありませんが、映画などに存在していたアメコミというものがカルチャーとして日本に根付き始めているのです。