なぜ余計な質問を? ジャンプの「大混乱のきっかけ」を作ったある意味重要なモブ
本来、物語にはそれほど大きな影響をもたないモブの存在ですが、たった一言や欲にまみれた軽率な行動で物語に大きな影響を与えてしまう場合があります。本記事では、実はある意味重要な役割を果たしていたのかもしれない、ジャンプ作品のモブを3人ご紹介します。
モブの余計な行動が話を動かした?

マンガには名前はなくとも、読者の記憶に残るモブが多々登場します。ジャンプ作品では『ドラゴンボール』でラディッツに殺された「戦闘力5のおじさん」や、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部のやたらと殺人鬼・吉良吉影に詳しい「吉良の同僚」など、今も愛されるモブキャラが多数登場しました。
しかし、なかには「どうしてそんなことをしてしまったの?」と言いたくなる余計な言動をするモブや、セリフもたった一言なのに、読者の印象に残りネタにされるようなモブも存在します。今回はそんなモブのなかでも、その言動が物語や登場人物に大きな影響を与えた「ジャンプ作品の重要(?)なモブ」を3人ご紹介します。
●たった一言で時代を作ってしまった(?)モブ
大人気マンガ『ONE PIECE』では、「この世のすべて」を手に入れたという海賊王ゴール・D・ロジャーが処刑の直前に放った「おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ… 探してみろ この世のすべてをそこに置いてきた」という一言によって、「大海賊時代」が幕を開けます。
少々言い回しは変わっているものの、アニメのオープニングにも使用されるほど有名な言葉ですが、このセリフのきっかけを作ったのは、アニメ版にだけ出てくるとあるモブキャラでした。
アニメ『ONE PIECE』48話のオリジナルシーンで、かつてロジャーの処刑を見ていたローグタウンのとある店の店主が過去を振り返った際に、問題のモブが登場します。海賊たちへの見せしめとして、公開処刑となったロジャーですが、「処刑を見ていたモブ市民」が「おい海賊王!!集めた宝はどこに隠したんだ!?」と、宝のありかを問いかける野次を言い放ったことによって、かの発言を引き出したのです。
彼はネット上では「すべての元凶」「海賊時代になる原因を作った」などと、かなりの「戦犯」として一部で有名になっていました。ただ、ロジャーの過去がある程度明らかになった今となっては、「モブに質問されなくても、ロジャーは『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』に関する話をしていただろう」と考えられます。しかし、作中のローグタウン市民や海軍関係者が「あいつの質問のせいで混乱の時代が生まれた」と考えて、あのモブキャラが恨みを買っていてもおかしくありません。彼のその後が心配です。
●怒りで悪の魔人が生まれるきっかけを作ってしまったモブ
『ドラゴンボール』のラスボスとして登場する魔人ブウは、凶悪な力を持ちつつも、世間知らずで無邪気な子供のような性格でした。ブウは自分の行動の善悪もわからず破壊行動をしていましたが、ミスターサタンの説得で一度は改心し、幸せな生活を送るようになります。
ブウは犬を連れてきてベエと名付け可愛がっていましたが、ブウが殺したことにして銃で「人間狩り」をしていた男たちに、ベエが撃たれてしまいました。その後、怒り狂ったサタンが彼らを成敗しますが、サタンも撃たれてしまい、ブウは怒りの余りに「純粋悪」と「無邪気」に分離します。そして、純粋悪ブウは、本来の姿である純粋に破壊を楽しむだけの生物になってしまいました。
余計なことをした卑劣なモブたちには、ネットでも「地獄行き確定」「けっこう人を殺しているし許せない」などと容赦ない非難が浴びせられています。ドラゴンボールで助かるとはいえ、彼らのせいで一度は地球人のほとんどが死亡する事態にまでなったのですから、この反応は当然でしょう。
●公式にもネタにされてしまったモブ
連載開始40周年を迎えた『北斗の拳』の「過去回想」にて、核の攻撃とそれによる「死の灰」から逃げるケンシロウ、ユリア、トキの3人は「避難用シェルター」になんとかたどり着きますが、そこは子供と保護者らしき大人でほぼ満員の状態でした。愕然とする3人に「どうつめてもふたりまでです!!」と告げたのが、一部で「シェルターの御婦人」と呼ばれるモブです。
この御婦人の言葉を聞いたトキは、ケンシロウとユリアをシェルター内に押しやり、自らは外で死の灰を浴び、北斗神拳伝承者になれなくなってしまいました。シェルターの御婦人の登場はこのワンシーンだけですが、彼女の一言がなければトキが順当に伝承者になり、ラオウの暴走も起きなかった可能性もあるため、ある意味重要なキャラです。
ネットで「子供抱えればいいじゃん」「トキを殺そうとした南斗シェルター拳の使い手では」などなどツッコミを浴びる他、スピンオフギャグマンガの『北斗の拳イチゴ味』『世紀末ドラマ撮影伝』でも形を変えてネタにされるなど、人気のモブキャラとなりました。
(LUIS FIELD)