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『ワンピース』の元ネタになった実在の海賊たち ふたりに「分裂」した有名人も?

世界の航海史を紐解くと、古代から現代まで頻繁に海賊が登場します。自由な海は陸の法が及ばない無法地帯であり、それは現在でもさほど変わらないようです。この記事では海賊たちが争う人気マンガ『ONE PIECE』に登場するキャラクターの、「モデル」となった実在の海賊たちを紹介します。

実在の海賊に由来するネーミングの数々

「グラグラの実」の能力者で、世界最強の男だった白ひげ。画像は「ONE PIECE Log Collection “MARINEFORD"(初回限定版)」(エイベックスピクチャーズ)
「グラグラの実」の能力者で、世界最強の男だった白ひげ。画像は「ONE PIECE Log Collection “MARINEFORD"(初回限定版)」(エイベックスピクチャーズ)

 最終章も盛り上がる大人気マンガ『ONE PIECE』には、個性豊かなキャラクターが数多く登場します。そのなかでも、話の中心にいる「実在の有名海賊をモデルにした」キャラクターたちを紹介します。

●黒ひげことマーシャル・D・ティーチ

 服装含め最も海賊らしいルックスと言える、新四皇・黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)の元ネタの人物は、エドワード・ティーチです。単行本49巻のSBS(質問コーナー)で、尾田栄一郎先生がはっきりと元ネタであることを語っています。

 18世紀初頭に活動した海賊で、黒いあごひげを蓄えており、「Blackbeard(黒ひげ)」と呼ばれていました。ディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」に彼を模した人形が設置されていたり(現在は撤去済)、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』に登場したりと、現在に続く海賊のイメージのシンボルになったような人物です。もっとも「海賊らしい海賊」といっても良いでしょう。

●白ひげことエドワード・ニューゲート

 かつての四皇のひとりで、世界最強の男と呼ばれた「白ひげ」ことエドワード・ニューゲートの名前は、エドワードの部分は前述のエドワード・ティーチからとられたことが、同じ49巻のSBSで語られています。

 ニューゲートという名前の部分は、16~17世紀に活躍したクリストファー・ニューポートという私掠船(国の政府から敵国の船への略奪行為などを認められた船)の乗員の名前からとられたのかもしれません。二つ名となった「ひげの色」から考えても、モデルを共有しながらも、ティーチとニューゲートが思想的に対立構造にあることは明白です。その他、イギリスに20世紀初頭まで存在した「ニューゲート監獄」がモデルの可能性もあります。

●「大喰らい」のジュエリー・ボニー

「最悪の世代」のひとり、ジュエリー・ボニーにもモデルの人物がいます。彼女の元ネタはアン・ボニーです。最悪の世代に関しては、単行本52巻のSBSでまとめてモデルが解説されています。

 アン・ボニーは18世紀にジョン・ラカムという海賊の配下として、男装して海賊行為を行っていました。ジュエリー・ボニーが年齢を操作して外見を変える能力(悪魔の実の名は不明)を持っているのは、元ネタとなったアンの男装や、彼女が80代まで生きたことから着想を得たのかもしれません。

●スクラッチメン・アプー

 アプーはワンピースの海賊のなかでも少数派の、「中華系デザイン」の海賊です。彼の元ネタは、香港を中心に活動した海賊チュイ・アプー(徐亞保)という人物です。彼はイギリスに捕えられ、オーストラリアのタスマニア島へ島流しにされる前に獄中自殺して果てました。清王朝の中国人らしく、辮髪のヘアスタイルのチュイ・アプーの姿が、デザインに取り入れられているのが特徴です。

●キャプテン・キッドことユースタス・キッド

 最悪の世代のひとりで磁力を操る「ジキジキの実」の能力者のユースタス・キッドは、ワノ国でトラファルガー・ローと共闘してビッグ・マムを撃破したのが記憶に新しいところです。彼の元ネタの人物はスコットランド生まれのウィリアム・キッドです。彼もまた、キャプテン・キッドと呼ばれました。

【画像】ひげの量がだいぶ違う? 『ワンピース』と『パイレーツ・オブ・カリビアン』の黒ひげ(4枚)

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