『ゼロワン』放送前に知っておきたい、女性ライダー「タックル」の号泣エピソード
新番組『仮面ライダーゼロワン』に女性仮面ライダーが第1話から登場することで、特撮ファンは盛り上がっています。女性ライダーがメインキャラクターになるまでの長い道のりの第一歩となったのが、電波人間タックルです。正式な仮面ライダーにはカウントされることのないタックルですが、大人のファンを虜にしたその魅力を振り返ります。
ミニスカ姿で戦う、変身ヒロイン
人工知能(AI)をテーマにした特撮ドラマ『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)が、2019年9月1日(日)9:00からスタートします。IT企業の青年社長が主人公というのも時代性を感じさせますが、福岡出身の新進女優・井桁弘恵演じる女性仮面ライダー バルキリーが第1話から登場することでも話題です。
1971年から始まった石ノ森章太郎原作の「仮面ライダー」シリーズには、『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE_FINAL』(2002年)に仮面ライダーファム(加藤夏希)、『仮面ライダー響鬼』(2005〜2006年)に仮面ライダー朱鬼(片岡礼子)などの女性仮面ライダーが登場しました。でも女性ライダーを語る上で忘れてはならないのが、『仮面ライダーストロンガー』(1975年)にレギュラー出演した電波人間タックルこと岬ユリ子(岡田京子)です。
昭和仮面ライダー第1期の最後を飾った『仮面ライダーストロンガー』は、悪の組織ブラックサタンにより電気人間ストロンガーに改造された城茂(荒木しげる)がブラックサタンの放つ怪人たちと戦うというストーリーです。電波人間タックルは、ストロンガーのパートナーとして第1話から活躍しました。
“電波人間”と聞くと、危ない人のようなイメージがありますが、タックル/岬ユリ子を演じた岡田京子さんは大変な美女で、変身した姿はテントウムシをモチーフにした赤いコスチュームで、ミニスカ姿で戦う姿がインパクト大でした。
タックルの得意技は「電波投げ」というもので、タックルが「電波投げッ!」と叫ぶと、戦闘員が勝手にとんぼ返りをして倒れるというものです。岡田さんが殺陣に不慣れだったことから生まれた技だったそうです。
タックルの魅力は、その弱さにありました。ブラックサタンに捕まっては、逆さ吊りにされたり、怪人にいたぶられたものです。その様子をちょっと離れた場所から眺めていた城茂が「ハッハッハッ!」と笑いながら現われ、ストロンガーに変身するというのがお約束の展開でした。子どもの頃は「タックル、弱すぎ」と思ったものですが、今考えるとタックルは大人のファンを喜ばせるための、かなりマニアックな設定のキャラクターだったように思えます。
タックル役で見事なやられっぷりを披露したのは、撮影時17歳だった岡田京子さんです。東映の岡田茂社長(当時)のお気に入り女優で、「仮面ライダー」シリーズの名プロデューサーだった平山亨氏の自伝『泣き虫プロデューサーの遺言状』(講談社)には【タックルの岡田京子さんは、岡田茂社長のお声があり、「ちゃんとした女優にしろ」と預けられた】と記されています。東映としては、『女必殺拳』(1974年)で主演をつとめた、志穂美悦子のような本格派アクション女優に育てたかったようです。