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『ゼロワン』放送前に知っておきたい、女性ライダー「タックル」の号泣エピソード

石ノ森作品に共通する女性キャラクター

映像ソフトのジャケットにおいても、電波人間タックルは常に仮面ライダーストロンガーの側に描かれる。『仮面ライダーストロンガー』Vol.1 DVD(東映ビデオ)より
映像ソフトのジャケットにおいても、電波人間タックルは常に仮面ライダーストロンガーの側に描かれる。『仮面ライダーストロンガー』Vol.1 DVD(東映ビデオ)より

 視聴率が伸び悩んだ『ストロンガー』の第30話「さよならタックル! 最後の活躍!!」を最後に、岡田京子さんはタックル役から卒業することになります。

 全身アザだらけになりながら奮闘を続けた彼女のために、泣かせる脚本が用意されました。強敵ドクターケイト(声:曽我町子)の放つ猛毒を浴びてしまい、岬ユリ子は死を覚悟します。城茂と過ごす束の間のひととき、ユリ子は茂のためにコーヒーを淹れ、「いつか世の中が平和になったら……、2人でどこか遠い、美しいところに行きたい」と淡い夢を語るのでした。

 しかし、魔女ドクターケイトは同性であるユリ子が幸せになることを許しません。ユリ子はタックルに変身すると最期の力を振り絞り、捨て身の技「ウルトラサイクロン」でケイトを倒すと共に自分も絶命するのです。タックルに死期が迫っていたことに気づかずにいた茂は、自分の不甲斐なさを悔やむのでした。

 岡田さんはとても大人びた美女だったため、茂を慕う妹キャラというイメージはなく、茂のためにコーヒーを淹れる様子は世話好きなお姉さんのようでした。このシーンをDVDで再生しながら、石ノ森章太郎ファンは思い出すのです。石ノ森作品には、姉弟をモチーフにした作品がとても多いということを。

 劇場アニメーション化された『幻魔大戦』(1983年)の東姉弟しかり、『人造人間キカイダー』(1972年〜73年)の光明寺姉弟しかり、TBSでドラマ化された『HOTEL』(1990年〜98年)の赤川姉弟しかりです。どれも、しっかり者の姉がヤンチャな弟を見守っているという設定です。

 石ノ森作品にお姉さんキャラが多いのには、理由がありました。有名な話ですが、石ノ森章太郎は「トキワ荘」で過ごした若手漫画家時代に、身の回りの世話をしてくれていた3歳上の姉・小野寺由恵さんを病院で失っています。このとき、由恵さんは24歳という若さでした。

 以降、石ノ森章太郎は猛烈なペースでマンガを描き続け、作品の中に優しかったお姉さんの面影を宿した女性キャラクターを度々登場させたのです。石ノ森作品に登場する主な女性キャラクターは、孤独に闘う主人公のいちばんの理解者ということで共通しています。

 タックル役を熱演した岡田さんですが、その後芸能界を引退し、悲しいことに27歳という若さでこの世を去っています。芸能界引退後に結婚しましたが、結婚相手は『ストロンガー』のメイク担当だったそうです。岡田さんにとって『ストロンガー』は女優として、そして女性としてかけがえのない作品だったようです。

 令和という新しい時代を迎え、女性ライダーがどんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです。でも、女性ライダーの先駆者として、タックルこと岬ユリ子が、そして若き日の石ノ森章太郎を支えた姉・小野寺由恵さんがいたこともぜひ忘れずにいてください。

(長野辰次)

【画像】弱くても奮闘! 「電波人間タックル」の決めポーズ(4枚)

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