バトル以上にギャグが見どころ? 今も話題の『北斗の拳』の「笑える場面」
『北斗の拳』は「週刊少年ジャンプ」で連載されたバトルマンガで、今もなお根強い人気があります。秘孔をついて敵を倒す主人公・ケンシロウの戦いに目が向きますが、実は笑えるシーンも多いです。ネット上では「下手なギャグマンガよりも面白い」との声が上がっていました。
『北斗の拳』が残酷なのに笑える理由
『北斗の拳』は「週刊少年ジャンプ」で連載されたバトルマンガで、連載40周年を迎えた今もなお根強い人気があります。核戦争により暴力が支配する弱肉強食の時代が舞台で、北斗神拳の伝承者・ケンシロウが救世主として強敵たちを打ち破っていく姿が描かれていました。
北斗神拳で秘孔をついて内部から敵の身体を破壊する主人公・ケンシロウの過激な戦いに目が向きますが、同作には笑えるシーンも多く、今でも話題になっています。ネット上では、「普通のギャグマンガよりも笑える」「シリアスギャグが面白い」「ケンシロウとザコたちでユニット組んだらキングオブコント獲れる」などの声が上がっていました。今回は、『北斗の拳』の笑えるシーンの数々を紹介します。
有名なのは、ケンシロウが旅の途中で出会った親切な老婆に対してのセリフです。とんでもなく巨大な老婆を拳王の手下と見破ったケンシロウは、なぜ変装に気付いたのか問う老婆に対して、「おまえのようなババアがいるか!!」と当たり前の答えを返しました。このシュールなやりとりは「R-1ぐらんぷり2010」で麒麟の川島明さんがネタにするなど、『北斗の拳』の屈指の笑える場面として有名です。
また、核の「死の灰」が迫るなか、ケンシロウとユリアを助けるためにトキが犠牲になるシェルターのシーンも、よく話題にのぼります。先にシェルターに入っていた女性から、残りふたりしかシェルターに入れないと言われ、トキはケンシロウたちをシェルターに押し込み自ら扉を閉めるという感動的なシーンです。
ここだけ見れば笑える要素はないのですが、シェルター内には幼い子供が多かったため、「子供を抱えれば余裕で入れるだろ」「どう詰めてもふたりまでと言い切ったおばちゃんが悪い」と、よくツッコまれる場面でもあります。「アメトーーク!」の「北斗の拳芸人」でも話題になり、『北斗の拳 イチゴ味』や『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』などのスピンオフギャグ作品でも思い切りネタにされたため、「今読み返すと笑っちゃう」などとも言われるシーンとなりました。
そして『北斗の拳』では、多くの「ザコ敵役」が登場します。モブたちの断末魔の悲鳴も、ファンを惹きつけました。ジャッカル配下の元プロボクサーの「あべし」や、シンの配下・ハートの「ひでぶっ」、武装組織・GOLANのマッド軍曹の「たわば」など、どれも印象的なものばかりです。
『北斗の拳』の公式サイトでのインタビューにて作画担当・原哲夫先生は「『痛え!』が『ひでっ!』みたいになって、その直後に『ぶっ!』…と。そこの瞬間を表現したかった」など、数々の断末魔を考えた際のこだわりを語っています。リアリティを追求した表現であり、原先生は「たとえば、熱いことを知らずに置いてあるアイロンなんかを触ると「熱い!」なんて言わずに「はちっ!」とか、言葉として成立しない奇妙な声が出るでしょ?」と例えていました。
ネットでも「擬音にめちゃくちゃセンスを感じるよね」「やられてるのになぜか満足気な顔してるのが良い」「アニメだと千葉繁さんのアドリブが最高だった」と、当時どんな断末魔の悲鳴が聞けるのか、特に注目していたファンの声が多くあります。
ほかにもケンシロウの敵への秀逸な罵倒の数々が人気で、「くさい息を吐くのはそれぐらいにしておけ」「汚ねぇツラ近づけるな!」や、「やっぱりブタか…」などの辛辣なセリフの数々に、「ケンシロウって強さ以上にワードセンスの才能がエグイ」「どうせ殺すのに精神面でも傷つける徹底ぶりが好き」と、こちらも読むたびに笑ってしまう人が多いようです。
ちなみに、ケンシロウはセリフだけでなくやることもかなり残酷で、敵の頭にノコギリを突き刺したり、消毒と称して火炎放射器を振り回す敵を「おまえのいうとおりだ 汚物は消毒すべきだな……」と、逆に炙ったりします。一切表情を変えず制裁を下すケンシロウと、どこかコミカルにやられていく敵たちに対して、「ケンシロウが残酷なことしてるのに真顔すぎる」「残酷なんだけどやられ方が面白すぎてついつい笑っちゃう」など、ケンシロウとザコたちの「残虐コント」を楽しんでいたファンの声が多くありました。
『北斗の拳』は上記の『イチゴ味』や『ドラマ撮影伝』のほかにもいくつかギャグのスピンオフがありますが、本編に多数の笑いのエッセンスがあるからこそ作りやすいのでしょう。
(マグミクス編集部)