ガンダムを上回る『ザンボット3』の戦争描写が、「23年後」にもたらした衝撃とは
放送終了から「23年後」の衝撃
人間爆弾という恐ろしい攻撃を仕掛けてきたガイゾックに対し、神ファミリーは次々と“特攻”することで応戦します。第21話「決戦!神ファミリー」では、神ファミリーの長老・神北兵佐衛門(声:永井一郎)と勝平の祖母・梅江(声:武知杜代子)が、そして最終回「燃える宇宙」ではさらなる犠牲者を出すことになるのです。人類を守るために戦い抜いた勝平たちですが、あまりにも大き過ぎる代償でした。
衝撃的だった『ザンボット3』の最終回から23年後、私たちはさらなるショックを受けることになります。
人間爆弾はフィクション上のもの、特攻は太平洋戦争末期に起きた過去のものという認識でいた私たちは、2001年9月11日にハイジャックされた2機の旅客機によってNYのワールドトレードセンターが大崩壊していく様子をニュース映像として目撃したのです。言葉を失うしかありませんでした。
富野監督が描いた世界は、決して絵空事のものではなかったのです。アニメーションの世界は現実世界と地続きであることを、富野監督は『ザンボット3』の中ですでに描いていたのです。
(長野辰次)
※本文を一部修正しました。