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時代の先を行きすぎた?「ジャンボーグ9」登場から半世紀 その存在が先駆的だった理由

ジャンボーグ9が特筆される理由とは?

ジャンボーグ9が初登場する27話を収録し、ジャケットでジャンボーグ9が大きく描かれる、「ジャンボーグA VOL.6」DVD(東映)
ジャンボーグ9が初登場する27話を収録し、ジャケットでジャンボーグ9が大きく描かれる、「ジャンボーグA VOL.6」DVD(東映)

 このジャンボーグ9の特筆する点は、番組途中で全く新しいヒーローを登場させたことにあります。

 たとえば番組途中で新ヒーローが登場するという点では『仮面ライダー』の仮面ライダー2号や、『突撃! ヒューマン!!』のヒューマン2号といった存在がありました。古くは『悪魔くん』のメフィスト(弟)を思い出す人もいるでしょう。

 しかし、前述のキャラクターはマイナーチェンジといった形であり、Aと9のようにまったく異なるデザインというわけではありません。あえて言うならば仮面ライダーV3やキカイダー01がそうかもしれませんが、世界観がつながっていても別番組となっています。同じ番組内で新ヒーローを出したという点でジャンボーグ9は先駆的でした。

 これが子供番組で定番化するのは1980年代になってからです。アニメでは奇しくもジャンボーグ9と同じくハンドル操作型の『戦闘メカ ザブングル』(1982年)、特撮では『超新星フラッシュマン』(1986年)以降でしょうか。これら中盤でのパワーアップは現在では既定路線。長期間放送する番組では必須となっています。

 これらが定番化するようになったのはスポンサー側の商品展開の都合、いわゆるマーチャンダイジングによるものです。しかしながらジャンボーグ9の登場は、特にスポンサー側からの強烈な指示というわけではなかったようです。

 この当時はまだスポンサー主導で新キャラクターを登場させるという風潮はあまりなく、その点からも製作サイドによる物語展開の一環として誕生したジャンボーグ9は異質な存在だと言えるかもしれません。

 もっとも、注目は集めたものの、ジャンボーグ9の存在が「大成功」とならなかったことで後続の作品に大きな影響を与えることはありませんでした。そのため、いわゆる2号ロボの定番化は10年ほど先のこととなったのでしょう。あまりにも早すぎたアイデアだったのかもしれません。

 ちなみに、劇場版『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010年)で、過去の円谷作品ヒーローが現代風にリファインされた時、ジャンボーグAはジャンボットという新ヒーローに生まれ変わりました。

 この時、ジャンボーグ9はリファインされませんでしたが、後にオリジナルビデオ『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』(2011年)のなかで、当初はジャンキラーと呼ばれていましたが、最後にジャンナインと改名した形で登場しています。このジャンナインは『ウルトラマンギンガ』(2013年)でも登場し、ライバルからセカンドヒーロー的な立ち位置で活躍しました。

『ジャンボーグA』本編の最終回で、ジャンボーグ9はジャンボーグAを倒した最後の敵であるデモンゴーネを見事に倒しています。そういった点ではタイトルのジャンボーグAでなく、新型であるジャンボーグ9が有終の美を飾ったのでした。

(加々美利治)

【画像】どっちが好きだった? ジャンボーグAとジャンボーグ9のデザインを比較(5枚)

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