『刃牙』の可哀想な「かませのかませ」にされたキャラ 3部で急に弱くなった?
「かませ犬」と呼ばれるキャラは、マンガにおいて強キャラを引き立たせる物語の重要な役どころです。しかしなかには、このかませ犬を引き立たせるために、「かませ犬のかませ犬」になってしまったキャラもいました。今回は、人気格闘マンガ『刃牙』シリーズから、「かませのかませ」にされた可哀そうなキャラを紹介します。
おそらく誰も名前を覚えていない5人の格闘家

人気格闘マンガ『刃牙』シリーズには、メインのキャラを引き立たせるために、多くの「かませ犬」キャラが登場しています。そして、それらのキャラも、ただのやられ役としての登場ではなく、最初は他キャラを圧倒する強さを見せることが多いです。「かませ犬」が強ければ、それだけメインキャラも引き立つのですが、そこには「かませのかませ」にされた、あまりにも可哀そうなキャラが生まれていました。
●マウント斗羽のかませにされた花田純一のかませ格闘家たち
第1部『グラップラー刃牙』で登場したプロレスラー・花田純一は、本部以蔵の弟子であり、「格闘技の大天才」と言われていた実力派です。しかし、主人公・範馬刃牙との戦いを控えていた花田はプロレスを舐め、同僚に不当な暴力をふるった結果、プロレス界の大物・マウント斗羽に制裁を受け重傷を負いました。
結局、刃牙との試合には斗羽が出場し、激闘を繰り広げます。つまり、花田は斗羽の「かませ犬」だったのですが、この花田にも彼を引き立たせるため、「かませ犬」になった5人の格闘家がいたのです。
地下闘技場主催者の徳川光成のもとへやってきた内藤(レスリングフリースタイル)、張(中国拳法)、佐藤(柔道130キロ超級)、高田(格闘カラテ)、黒川(バトルサンボ)の5人は、普段プロレスで前座をしている花田が刃牙への挑戦権を得たことに、不満を抱いていました。しかし、挑戦権をかけた花田との戦いでは彼らは全く歯が立たず、あっという間に敗北します。内藤に至っては他の4人が敗れたことで戦意を喪失し、戦いを放棄するという見事なかませ犬ぶりを見せました。
引き立て役になる「かませ犬」は影が薄くなりがちですが、さらに「かませのかませ」になってしまうと、その存在感はますます薄れてしまいます。この哀れな5人の格闘家を覚えている読者は、果たしてどれだけいるのでしょうか。
●刃牙にボロ負けしたアライJr.に負けた海王
第2部『バキ』に登場したマホメド・アライJr.は、刃牙の彼女・松本梢江に求婚しており、刃牙にとっては戦闘だけではなく、恋愛面でもライバルと目されていました。しかし、アライJr.が挑んだ刃牙との試合は、刃牙の圧勝に終わったのです。
アライJr.は刃牙との試合までに、地下闘技場の強者たちと死闘を繰り広げ、戦士として覚悟を決めていきました。彼の成長を感じさせる描写の数々は、まるで主人公のようだったのですが、最終的には改めて刃牙の強さを強調する結果になっています。そんなアライJr.を引き立たせるため、「中国大擂台賽(ちゅうごくだいらいたいさい)」編では、彼の「かませ犬」になったキャラ・範海王がいました。
100年に一度の中国武術界最強の「海皇」を決める大擂台賽では、1回戦で中国勢の負けが多いことに憤慨した郭海皇の提案で、大会が中国vs日米連合の対抗戦に変更されます。そして、範海王は中国側の4番手として登場し、アライJr.と対戦しました。範海王は、蹴り技が存在しないボクシングの不完全さを説くも、「そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」と、ネットミームとしても有名になった刃牙の名言で否定され、大地を蹴って放つアライJr.のパンチで倒されたのです。
範海王はしっかりと武術歴を紹介された他、彼のセリフに関連する刃牙の名言も飛び出したため、覚えている方は多いのではないでしょうか。名前に「範」の字が入っているため、当初「範馬勇次郎が中国で作った隠し子で範馬の血の後継者じゃないか」などと考えた人もいたようですが、武術でマウントをとったうえで瞬殺される見事な完敗で姿を消しました。