【ボードゲーム人生相談】マンガを描いてばかりの娘。マジメに勉強をさせるには?
山形県の古刹で住職を務め、ボードゲームジャーナリストとしても活動する小野卓也さんが、相談者の「お悩み」に答えます。最後はおすすめのボードゲームで気持ちも前向きに!?
「生きがい」と「実利」の相乗効果を目指せる
禅寺の住職であり、ボードゲームジャーナリストでもある小野卓也さんが、さまざまな「お悩み」の相談に答えます。今回のお悩みは……
【子供がマンガばかり描いていて、勉強をしません(42歳女性)】
中学生の娘がいるのですが、毎日家でマンガを描いてばかりで勉強をしません。成績は、美術以外の教科は全て3です。勉強しなさいと言えば、「ほっといて」と言い返されますし、夫も「好きにさせればいい」と、全くあてになりません。将来進学や就職で苦労しないように、きちんと勉強してほしいと思うのですが、どうしたら娘は勉強してくれるでしょうか?(40代女性)
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AIのシンギュラリティにより、専門性の高い職業がコンピュータやロボットに取って代わられていくこれからの時代、お子さんがどのようにして食べていくかの計画が立ちにくくなっています。
とはいえ、「マンガを趣味にするならいいけれど、それで生計を立てるのは厳しい」と思う親は多いでしょう。事実、年収数億円という人気漫画家もいる一方、年収ゼロから数万円という人が圧倒的大多数というピラミッド構造になっているようです。
しかしながら、生きがいや生きる意欲は、生計を立てられるかどうか以前の大事な問題です。お嬢さんはきっと、マンガを描くことや絵が上手いことでお友達や同級生から一目置かれているはずです。所属する集団のメンバーとして認められたり、褒められたりすることで充足される自尊感情は生の源泉であり、精神的健康に不可欠なものです。それを奪われたら、うつや自殺にもつながりかねません。
かといって、勉強をしなくていいということにもならないのが現実。問題は、「生きがい」と「実利」をどのようにして両立させるかということになります。これは、お子さんだけでなく私たちにも共通する問題といえますね。
これからの職業のあり方として「複業」という言葉があります。複数の業務を、本業と副業という分け方をせずに行うというものです。複業は収入を補い合うだけでなく、知識やスキルの〈掛け算〉による相乗効果で自分の存在価値を高め、オンリーワンの人材を作るという効果があります。
例えば、お嬢さんがマンガというスキルを伸ばしつつ、小売業に就職したならば、チラシやポップづくりに活かしたり、お店での経験をマンガに活かして大ヒットを生み出したりするかもしれません。
そのためには、「趣味=好きなもの/勉強や仕事=嫌いなもの」という分け方をしないことが大切です。マンガのストーリーは国語に、コマ割は数学に、テーマは社会に……というように、マンガも勉強も同じ次元でとらえることができれば、新しい気付きを他のものに応用するという発想によって、どちらも伸びていくでしょう。