『マジンガーZ』「ジェットスクランダー」TV初登場から半世紀 紅の翼はロボットアニメに影響
当時の人気作品だった『マジンガーZ』のヒットを決定づけた「ジェットスクランダー」がTVに初登場して半世紀が経ちました。その後の巨大ロボたちに大きな影響を与えた功績について紐解いていきます。
登場までの物語展開も秀逸だった
本日7月22日は、半世紀前の1973年に『マジンガーZ』第34話「紅い稲妻 空とぶマジンガー」で、新兵器「ジェットスクランダー」がTVで初登場した日です。後続のロボットアニメ作品にも大きな影響を与えた新兵器登場について振り返ってみましょう。
スクランダーは空を飛べないマジンガーZのために開発された追加装備です。このスクランダーと合体することでマジンガーZは大空を自在に飛ぶことができるようになりました。合体するときの掛け声「スクランダークロス」は、ドッキングした時にマジンガーZとスクランダーのシルエットが十字架を思わせるところからつけられたそうです。
マジンガーZが空を飛べないという弱点は、たびたび作中でもクローズアップされていました。スクランダー登場まで「空飛ぶ機械獣」との苦戦を何度か描き、ついにマジンガーZが空を飛ぶというカタルシスにつなげたわけです。
ゆえにこの間のドラマは秀逸でした。空を飛べないマジンガーZがどうやって空飛ぶ機械獣に勝利するのか……? それを見守る当時の子供たちは毎週TVの前でハラハラすることになるわけです。時にはアフロダイAから発射されたロケットを両腕でつかんで飛ぶという荒業も見せてくれました。
このマジンガーZが空を飛ぶというイベントは、作品最初の大きなイベントだったと思います。それまでにもマジンガーZに水中移動用のロケットが取り付けられる、あしゅら男爵が機械獣に乗り込む……といった展開がありましたが、それらと比べるとスクランダー登場の盛り上がりは大きなものでした。
同時期に劇場用作品『マジンガーZ対デビルマン』(1973年7月18日公開)でもTVに先駆けてスクランダーが披露されています。あえて劇場とTVのふたつの作品で取り上げている点を踏まえれば、スクランダー登場はこの夏の『マジンガーZ』最大のイベントだったと言えるでしょう。
当時を振り返ってみればこの夏が『マジンガーZ』という作品の人気を決定づけることになった時期だとも言えるかもしれません。なぜなら『マジンガーZ』二大人気玩具のひとつ「ジャンボマシンダー」が発売されたのもこの時期でした。ちなみに「超合金」は、開発の遅れから冬まで待つことになります。
そういった点でもスクランダー登場は『マジンガーZ』のヒットを決定づけたイベントでした。そして、その影響力は後の作品たちに多大な影響を与えることになります。