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映画『惡の華』の井口昇監督「もっとおかしな作品あっていい」…10代の読書体験語る【インタビュー(3)】

映画館に行けば、外界から隔離される

インタビューに応える、井口昇監督(マグミクス編集部撮影)
インタビューに応える、井口昇監督(マグミクス編集部撮影)

——『南友』『デビルマン』『ハレンチ学園』など、当時の永井豪作品はクライマックスで最終戦争(ハルマゲドン)が勃発し、驚愕のラストを迎えるのが定番でした。

井口 子どもの頃に永井豪作品を読んで、感性がぶっ壊された部分があると思います。映画を撮るようになってからの僕にも影響を与え続けているんじゃないかな。それと子どもの頃の読書体験で忘れられないのが、僕が風邪で寝込んでいるときに僕が退屈しないようにと、よく母がマンガを買ってくれたことです。

 母のセレクトが独特すぎて、楳図かずお、古賀新一、つのだじろうといったホラー漫画家のコミックを買ってくるんです。日野日出志の『胎児異変 わたしの赤ちゃん』とか、いまだに鮮明に脳裏に焼き付いています(笑)。

——高校に進む頃には映画館に通うようになり、ご自身も映画づくりを目指すようになります。

井口 映画館の暗闇なかにいると、外界から隔離されているような気分になれるんです。大林宣彦監督がデビューして間もない頃で、『HOUSE ハウス』(1977年)や『金田一耕助の冒険』(1979年)にハマりました。『ねらわれた学園』(1981年)もそうですけど、大林監督の映画はどれも狂っているんです(笑)。

 当時は他にも岡本喜八監督の『ブルークリスマス』(1978年)や橋本忍監督の『幻の湖』(1982年)など、のちに「カルト映画」と呼ばれる作品が普通に劇場公開されていて、僕はそんな映画を王道映画として楽しんでいたんです。谷崎潤一郎の小説を映画化した『瘋癲老人日記』(1962年)で山村聡が若尾文子の唾を呑むシーンには、びっくりしました。映画の中で覚えている場面って、やっぱりフェチシーンなんですよね(笑)。

——思春期の頃のいろんな読書体験や映画鑑賞が、その後の人生も支えることになるんですね。

井口 あの頃に比べると、今は明るい健全な映画が多くなりましたよね。でも、チケットを購入して劇場で楽しむ映画って、もっとおかしな映画がいろいろあっていいと思うんです。僕みたいに映画に救われる人もいるんじゃないかな。今回の『惡の華』も、そんな映画になれたらいいなぁと思いますね。

(長野辰次)

●映画『惡の華』 
原作/押見修造 監督/井口昇 脚本/岡田麿里
出演/伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨 / 飯豊まりえ
配給/ファントム・フィルム PG12 2019年9月27日(金)より全国公開
(C)2019「惡の華」製作委員会

【画像】「僕はなんて変態なんだろう」思春期の葛藤が詰まった、映画『惡の華』のシーン

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