狂騒を巻き起こした「復刻・ライダースナック」 実食してわかった意外な事実とは
映画『シン・仮面ライダー』に合わせて販売された「シン・仮面ライダースナック」は、半世紀前のライダーブームの時に販売されていたお菓子の復刻版です。はたしてホントに美味しくなかったのか? 調査してみました。
令和の「ライダーカード騒動」も勃発
劇場映画『シン・仮面ライダー』公開に合わせて販売開始しながらも、一時期販売中止となってしまったカルビーの「シン・仮面ライダースナック」。あのトラブルはなぜ起きたのでしょうか? 時間が経過した今だからこそ、それについて振り返ってみましょう。
ご存じの方も多いと思いますが、映画『シン・仮面ライダー』は1971年に放送され、社会的現象までの大ヒットとなった『仮面ライダー』のリブート作品です。そして、当時の大ブームのなかで人気商品のひとつとなったのが、カルビーから販売された「仮面ライダースナック」でした。
最大の魅力だったのが、スナック菓子のおまけについていた仮面ライダーのカードです。このカードを集めるため、当時の子供たちはスナックを大量に買っていました。筆者も『仮面ライダー』直撃世代ですので、あの時のことはよくおぼえています。後の「ビックリマンチョコ」のシールや「遊戯王カード」に匹敵するほどのフィーバーぶりでした。
そんな当時のフィーバーを知っている人ならば、『シン・仮面ライダー』でも同じカルビーからカード付きお菓子が出ると聞けば、興味津々となるのは当然です。つまり直撃世代の興味を引くには格好の商品でした。もちろんそれ以外の人にも、伝説の商品という点で訴求力はあったと思います。
いわば人気商品となるのが約束されていたカード付きお菓子でしたが、大きく分けてふたつの商品がリリースされました。一般流通もされる「シン・仮面ライダーチップス」と、ネット通販限定の「シン・仮面ライダースナック」です。チップスは定番のうすしお味のポテトチップス、スナックは半世紀前の「仮面ライダースナック」と同じレシピで再現したお菓子でした。
ここまではプロモーション的に成功でしたが、ひとつの誤算がトラブルの原因となります。それが、販売受付初日数時間でのサーバーダウンでした。また、一般流通するチップスも限られた地域で特定の店舗のみという形になります。
こういった商品の品薄が見込まれると、転売業者の動きが活発になるのが昨今の事情です。もともと個数限定で再販しないチップスはあっという間に売り切れ、通販サイトなどに並ぶこととなりました。ネット通販限定だったスナックはこの反響に応える形で、数か月かかるものの応募者全員にいきわたるように販売体制を修正します。
この時に付属したカードにはさまざま意見がありました。なかでも目立ったのは「ネタバレ」と呼べる記述が多かったことです。特に『シン・仮面ライダー』は公開前の情報はほとんど告知されておらず、このカードに書かれていたテキストで初めて知る情報が多くありました。
もっとも、これに関して初代『仮面ライダー』世代の反応は少し違ったものになります。なぜなら、当時のスナック付属のカードにも、どこよりも早い情報や、本編では明かされていない逸話などが多々ありました。つまりカードで初めて情報を知るということは、ブーム当時の再現と言えるわけです。
しかしながら当時と違ったのは、一部の人間による大人買いや買い占めという手段によって、その機会を失った人が少なくなかったことでした。もしも、このことが多くの人の間で共有できていれば、当時の雰囲気を広い層で味わえたかもしれません。その点で、プロモーションとしては成功しても、当時を懐かしんで楽しめた人が少なかったことは残念だったと、筆者は思います。