狂騒を巻き起こした「復刻・ライダースナック」 実食してわかった意外な事実とは
実食して半世紀ぶりにわかった真実

その後、劇場公開からしばらくしてチップス第2弾が発売されます。付属のカードのテキストも新情報が多く、劇場を観た後でも楽しめる内容になっていました。しかしながら、またしても地域や販売場所は限定され、すぐに店頭で見られなくなってしまいます。
もっと数量を多く販売することを望む人も多くいました。とはいえ、需要と供給のバランスはメーカーにとっても考えた末の判断です。店頭で在庫として残るよりも、売り切りたいのが本音でしょう。そう考えると、メーカーと購入者双方が得をするというのはむずかしいものです。
そんなおり、2023年6月上旬から「シン・仮面ライダースナック」の発送が始まりました。前述のネット注文で全員が購入できる商品です。第1次注文で抽選に当たった人は3月中に届いており、その後の第2次注文で申し込んだ人が届く形でした。
ある意味では、このように応募者全員に届く形がベストなのでしょうが、これもメーカー側の負担は少なくなく、絶対の方法ではないと思います。このネット注文限定のスナックで筆者がもっとも注目したのが、「当時のレシピで再現した」というスナックの味でした。
このスナックが美味しくなかったから、当時の子供たちはカードだけを残してスナックを捨てていた。そのことが社会問題になった……と、現在では伝えられています。ところが、「スナックは美味しかった」という証言も少なくありません。当時の味を正確におぼえている人はほとんどいないでしょうから、この味についての部分は個人の思い出によるところが大きいと思われます。
つまり、「当時の味を再現したスナック」というのは直撃世代の「答え合わせ」という側面がありました。はたして自分の主張が正しかったのか? ……筆者もドキドキしながら開封して食べて見ました。気分はグルメマンガの登場人物のようです。
その結果、当時の記憶が鮮明によみがえりました。「なんちゅうものを食わせてくれたんや…」そんな言葉が脳裏をよぎります。当時のレシピを再現するということがなければ、ふたたび口にすることがなかった味ですから。
結論から言えば、現代のレベルとそん色ない美味しいお菓子でした。袋を開けた瞬間から甘い匂いが漂います。サクサクとした食感も良く、ほんのりエビの味がするお菓子でした。あえて言うならば、甘さが強すぎる感があります。
しかし、これだけ美味しいお菓子なのに、なにゆえに「不味かった」という風評被害が起きたのでしょうか?
理由はいろいろ考えられます。一番は、量を食べるのに向かないものだということ。実際、ひと袋程度なら美味しくても、数を食べると美味しくない……と感じることは多々あります。あくまでも筆者の主観ですが、このスナックはお腹いっぱい食べられるような味ではないと感じました。
しかし、子供たちはオマケのカードのためには何十個と消費しようとしたわけです。これにより「食べないで捨てる」ということが横行し、その免罪符的に「カードは欲しいけど、お菓子は不味い」という言い訳が生まれたのかもしれません。
筆者の記憶でも、量を食べられるタイプのお菓子でなかったのは確かで、そういった点で大人になった目線で見ると、けっして不味くなかったという意見が正しかったと思いました。もちろん、これは筆者の目線ですので、他の意見もあるでしょう。
思えば、仮面ライダースナックはブーム時の数年しか味わえなかったお菓子。風評被害があっても、くつがえすことは難しかったでしょう。同じように社会現象にもなったビックリマンチョコが不味いという話が出ないのも、長期にわたって販売されて味が判別できたからかもしれません。
惜しむらくは、復刻されたライダースナックが限定商品で、気軽に食せない状況にあることでしょうか。この味を、多くの当時世代の人に味わってもらいたいものです。
(加々美利治)