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【色あせない記憶】『ストII』がもたらした「対戦格闘ゲーム」文化の芽生え

「見知らぬ者同士の対戦格闘」という文化が誕生

格闘ゲーム筐体のイメージ (画像:写真AC)
格闘ゲーム筐体のイメージ (画像:写真AC)

 最初に選択したキャラはリュウだったと思います。レバーを上に倒せばジャンプする。パンチボタンを押せばパンチが出て、キックボタンを押せばキックが出る。当たり前のことを書いているように思われるでしょうが、当時のゲームの水準では、キャラクターが思った通りの動きをしてくれるのは画期的なことだったのです。

 最初のプレイは慣れていないこともあり、すぐにやられてしまいましたが、「これは凄いゲームだ!」と心の底から湧き上がる想いを感じていました。

 その後、『ストII』は瞬く間に街中のゲームセンターやゲームコーナーに広がっていきましたが、どこにいっても順番を待つ人が列をなしていました。やがて「対CPU」よりも「対人」の方が面白いことに気づいた人たちが現れ、アーケードでの「対戦」という文化が芽生えたのです。

 それまで「対戦」というと、ファミコンの『アイスクライマー』や『マリオブラザーズ』、『キン肉マン マッスルタッグマッチ』のようなゲームを、家で友達と遊ぶのが主流でした。

『ストⅡ』は、アーケードを舞台に、見知らぬ人間同士が戦う世界を作り上げました。最初は横に並んでプレイしていましたが、対戦する2人が背の高い筐体をはさんで座る「対戦台」の登場により、相手の顔を見ずに済むようになりました。より気軽にプレイできるようになって、人気はさらに加速しました。

 とはいえ当時はまだ波動拳すら出せないプレイヤーも多く、攻略情報もアーケード情報雑誌「ゲーメスト」が頼りという状況。今ならインターネットでいくらでも情報を得ることができますが、当時は一部のプレイヤーが自分で見つけた「秘伝」を駆使して勝ちまくるという場面もありました。

 その後、ゲームセンターには続々と新作対戦格闘ゲームが現れ、一大ブームを巻き起こしました。ゲームセンターが輝いていた日々はもはや思い出でしかありませんが、まだ頑張っているお店もいくつかあります。筆者もたまに足を運んでは、自分の中の熱を燃やし尽くした日々のことを思い出しています。

(早川清一朗)

【画像】もはや文化! eスポーツや地域おこしにも影響与える「ストリートファイター』(7枚)

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