【もはや定番】特撮に出演する「お笑い芸人」 仮面ライダーと戦隊で役割の違いも?
スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズなどの特撮ヒーロー作品にお笑い芸人が出演する機会が近年増えています。どういった形で出演することが多いでしょうか。また、それぞれのシリーズで役割に違いはあるのでしょうか?
流行のギャグから昭和のギャグまで登場
2019年9月1日に放送開始した『仮面ライダーゼロワン』第1話に登場して話題となった“腹筋崩壊太郎”。演じていたのはお笑い芸人のなかやまきんに君さんでした。その翌週に放送された『騎士竜戦隊リュウソウジャー』第25話には、ひょっこりはんさんが登場しています。
お笑い芸人がスーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズなどの特撮作品に出演する場合、各シリーズでどういうパターンが多いのか、それぞれのシリーズで違いはあるのかを見ていくと、時代による作品テイストの変化といった背景が見えてくるのです。
スーパー戦隊シリーズの場合は、流行を取り入れる製作スタイルと、基本的に1話完結でライトな作風ということもあり、仮面ライダーシリーズよりもお笑い芸人のゲスト出演が多い傾向にあるようです。シリーズのなかでもお笑い芸人の出演が特に多かった『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008~2009)を例に見てみましょう。
お笑い芸人が出演するパターンで最も多いのが、ブレイク中の芸人が登場するというもの。第4話に登場したスプレーバンキの声をアントキの猪木さん、第27話に登場したダウジングバンキの声をエド・はるみさんが担当しています。2人が演じた怪人はともに、彼らの持ちネタを取り入れた台詞回しとなっていました。
また一方で、子供と一緒に鑑賞している親御さん向けなのか、製作スタッフの趣味なのか、往年の昭和のギャグ、あるいはベテラン芸人が登場することもよくあります。
第21話に登場したフーセンバンキの声を担当したのが、渥美清さんのモノマネで知られる原一平さん。『男はつらいよ』シリーズの主人公・寅さんのような帽子をかぶっており、口調も寅さんを思わせるものでした。フーセンとフーテンの寅さんをかけた粋なキャスティングでしょう。
流行りのギャグや往年のギャグを散りばめる演出は、2018年に放送された『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018~2019)でも健在で、もはやシリーズの定番となっています。
思えば、かつて東映が製作していた映画『トラック野郎』シリーズ(1975~1979)なども当時の流行やギャグを取り入れた作風で、お笑い芸人も多数出演していました。スーパー戦隊シリーズの遊び心あふれる演出やキャスティングの源流は、プログラムピクチャーの時代の娯楽映画まで遡ることができるのではないでしょうか。