『SPY×FAMILY』WIT STUDIOが「縦読みマンガ」事業進出はナゼ? 「アニメ制作」との意外な共通点
『SPY×FAMILY』などヒットアニメを手掛けてきたWIT STUDIOが、縦読みフルカラーマンガの企画制作チームを発足しました。なぜアニメーション制作会社が Webtoon(ウェブトゥーン)事業に進出したのか? 共同創業者・取締役の中武哲也さんらに話を聞いた。
Webtoon進出の理由は?

『進撃の巨人』『SPY×FAMILY』『王様ランキング』など次々とアニメをヒットさせてきたWIT STUDIOが、縦読みフルカラーマンガの企画制作チームを発足し連載を開始しました。
その第一弾がクリエイター集団のFUZIとタッグを組み制作した『エスティ はじまりの魔法を継ぐ者』です。田舎育ちのポンコツ魔法使いエスティ・ソテルが、都会の魔法学校へ進学し、世界を救う冒険に巻き込まれていくファンタジー作品です。
なぜアニメーション制作会社が Webtoon(ウェブトゥーン)事業に進出したのか? アニメ制作と Webtoon との意外な共通点とは?
そこから見えてくるWIT STUDIOの次の一手も含めて、共同創業者・取締役の中武哲也さん、同作プロデュース担当の田村大輝さん、クリエイティブプロデュース担当の佐藤慧介さんに話を聞きました。
【取材・文=いしじまえいわ、編集=沖本茂義】

●Webtoon 進出の狙いは?
WIT STUDIOは『SPY×FAMILY』『王様ランキング』といったハイクオリティなアクション作品でアニメ好きから絶大な支持を集めるアニメーション制作会社です。さらに『甲鉄城のカバネリ』『GREAT PRETENDER』『バブル』など、「オリジナル作品に積極的に取り組んでいるスタジオ」という一面があり、同社の創業メンバーの一人である取締役・中武哲也さんは「オリジナルのストーリーを世界に届けたい、ということが僕たちの大きなモチベーションです」と同スタジオの作品づくりへの姿勢を表します。

一方、今回WIT STUDIOが企画・制作した『エスティ はじまりの魔法を継ぐ者』は、縦読みフルカラーマンガであり、「Webtoon」と呼ばれるWebコミックの一種です。
コマの進行が縦方向に連なっており、パソコンやスマートフォンでの閲覧に適している点や、電子媒体での展開を主としている点、フルカラーである点などで日本の通常のマンガと異なります。Webtoonは韓国発ですが、日本でも各出版社・マンガ配信サービスが続々と参入を始めるなど、次世代のエンターテイメントコンテンツとして注視されています。

なぜWIT STUDIOは主幹事業である「アニメーション」とはまったく異なる表現ジャンルである、Webtoon事業に進出したのでしょうか。
その理由として、同社の創業メンバーのひとりである中武さんは、第一に「若さ」を挙げます。
マンガはアニメに比べて制作にかかるさまざまな面でのコストが低く、若い人がチャレンジしやすい。それは若いセンスや夢中になれるエネルギーを作品に反映させやすいという事を意味しています。中武さんはこれを端的に「アニメに比べればマンガは10年若返れる」と表現します。

事実、『エスティ』は動画や音楽、イラストレーションなどの複合分野で活躍中の若手クリエイター集団・FUZIとの共同で制作されています。若さを作品に取り込むことこそが、WIT STUDIO がマンガ事業に乗り出した一番の理由、というわけです。