『SPY×FAMILY』WIT STUDIOが「縦読みマンガ」事業進出はナゼ? 「アニメ制作」との意外な共通点
ファンの意識の変化が新たなオリジナル作品を生む
WIT STUDIO に大きな価値をもたらしたというWebtoon事業参入。一方、主幹事業である「アニメーション制作」についてはどのような展望を抱いているのでしょうか。
中武さんは、自社の強みであるアニメーション制作力を活かしつつ、さまざまなパートナーと組むことで互いの強みを活かしつつ、国内だけでなく「世界中に作品を届けたい」と語ります。
世界展開を後押しする背景として、海賊版や違法視聴が横行していたひと昔と比べて、海外アニメファンの意識の変化があると分析します。日本のファンと同じように、きちんと正式なサービスで見たい、本物のグッズが欲しいと考える海外ファンが増えていると言います。
「海外での売上げが見込めるようになったことで、制作前の段階である程度の試算が出来るようになりました。それによって私たちもよりチャレンジングな作品づくりに取り組むことができるようになったのです」
ファンの意識が変わり適切な収益が作り手に還元されることが作り手の力になる、という好循環が生まれているようです。
また近年、爆発的なヒットを飛ばすアニメ作品が注目を集めていますが、その多くが「マンガ原作もの」です。アニメーションスタジオとして確実にヒットを狙うのであれば、原作もののアニメを手掛けるのが手っ取り早い、という考えに至りそうなものです。
しかし、WIT STUDIOはアニメにおいてもオリジナル作品への挑戦を継続すると力強く語ります。
「やっぱり(WIT STUDIO のスタッフは)クリエイターですから、自分が面白いと思う新しい物語を生み出したい、という気持ちをみんな持っているはずです。オリジナル企画はハードルも高いですが、働いている仲間たちの希望になるような企画をたくさん生み出していきたいですね」
(いしじまえいわ)