ファミコン歴代売上で『ドラクエ2』を超えた、意外なソフト 「超シンプルな内容」
ファミコンソフトには、その後もシリーズ化され大ヒットを記録したソフトよりも、売れていた作品が存在したことは、あまり知られていないかもしれません。それらの作品は今もなお多くの人が、楽しさを語り継いでいます。
ファミコンは子供だけではなく当時の大人も魅了していた
2023年7月15日に発売から40周年を迎えた「ファミリーコンピュータ」には、さまざまなソフトがあり、今も人気の作品も多数あります。そんなファミコンソフトの歴代売り上げランキングを見てみると、意外なタイトルもありました。
ファミコンで発売されたソフトのなかには『スーパーマリオ』や『ドラゴンクエスト』など今もシリーズ化され、軒並み大ヒットを記録した作品も少なくありません。ただ、『CESAゲーム白書2018』の「国内歴代ミリオン出荷タイトル」を見ると、上位を占める前述の強敵シリーズのなかに混じって、大健闘したファミコンソフトがいくつかあります。なかには、子供には一見渋そうな内容に思える作品もありました。
まず、1984年に任天堂から発売された『ゴルフ』です。同作はファミコン初のゴルフゲームとして、出荷数約246万本の大ヒットを記録しました。これは、1986年の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の240万本を上回る数値で、順位は歴代ファミコンソフトのなかで6位です。
基本的にはボールを打つだけの内容ですが、1回目にボタンを押してスイングを開始、2回目のボタンを押すタイミングでボールを打つ強さを調整、3回目の推すタイミングでボールの飛球の方向性を変える、という分かりやすくも慣れないと難しい操作も魅力でした。ゴルフのルールに疎い子供たちでも十分楽しめる上に、実際のゴルフのように風向きや芝目を読むといった本格的な要素もあったため、ゲームに関心がなかった大人たちも夢中になった作品です。
ネット上では「このゲームのおかげでゴルフのルールを覚えることができた」「親子で対戦できたから楽しかった」と、思い出を語る人が多くいます。家族で楽しめたことも、ヒットに繋がった理由なのかもしれません。
また1983年に発売された『ベースボール』も、ファミコンから初めて発売された野球ゲームとして多くの支持を集めています。同作は野球の魅力である盗塁や送りバントなどの駆け引きを楽しめるだけでなく、投手が多彩な球種を投げることができたため、友達との対戦でも熱い戦いを繰り広げることが可能でした。また、プレイ中に繰り出す「裏技」を使う楽しみもあり、夢中になった人が多かったようです。
今でも「友達との対戦では妙に白熱して楽しかった」「簡単に操作できたけど後の野球ゲームの基礎になった作品だよね」「延長戦がなかったのもちょうどよくてありがたい」など、ひとりプレイでも対戦でも楽しめたゲームとして評価されています。出荷数で235万本、歴代8位の大ヒットとなりました。そして、野球ゲームでは他にも、1986年に発売された初代『プロ野球 ファミリースタジアム(ファミスタ)』が、205万本でファミコン歴代売り上げランキング10位に入っています。
また1984年に発売された『麻雀』も、任天堂から発売され、213万本の出荷数(9位)を記録した大ヒット作品です。難易度は、ルールを教えてくれる「初級」から、鳴きや打牌に制限時間が設けられた「上級」まで3段階あり、ルールに慣れていない人から麻雀に自信のある人まで幅広く楽しめました。
一般的に麻雀といえば大人の遊びというイメージがありますが、子供でも同作で麻雀のルールを覚えたという人も多いようです。ネット上では「親がやっていたから自分も少しずつ覚えられた」「コンピューター相手に適当に打っていれば、麻雀のルールが分かってきた」「採点しなくていいのが初心者には助かった」などなど、ファミコンを通じて多くの人が麻雀を楽しんでいたようです。
(LUIS FIELD)