【漫画】透明人間の少女になつかれた狼男 「ペット」と思われるのが不満だが、簡単に離れられなくて?
酢豚ゆうきさんのマンガ『月出づる街の人々』が「次にくるマンガ大賞 2023」にノミネートされ、あらためて注目を集めています。Twitterでは、第1話『透明人間少女と狼男少年』が再掲載されました。モンスターたちの「日常」が描かれています。
異形の少年少女たちが「普通」に生きる世界
突然の雨で困っていた女子に、ある男子が自分の傘を渡してくれました。彼は、自分は狼男だから傘がなくても大丈夫と言い、狼に変身して去っていきます。このことをきっかけに、ふたりの交流が始まりました。しかし、やがて狼男は少女が自分に対して「ペットとしての感情しか持っていない」ことに釈然としない気持ちになって……。
本作は、酢豚ゆうきさん(@yukikanayama20)による『月出づる街の人々』の第1話です。双葉社の「月刊アクション」で連載中のオムニバス形式のマンガで、さまざまなモンスターたちが一緒に暮らす世界が描かれています。第1話のタイトルは『透明人間少女と狼男少年』で、実は傘を受け取った女子も透明人間です。
読者からは「夢中になって読んでしまう」「ほのぼのした雰囲気とお話がめちゃくちゃ好きです」など好評を博しており、ダ・ヴィンチとニコニコが運営する「次にくるマンガ大賞 2023」でもコミックス部門でノミネートを果たしました。2023年6月のTwitter(現:X)での第1話の再公開では4.7万いいねを集め、リツイートも7000件を超えています。
作者の酢豚ゆうきさんに、お話を聞きました。
ーー『月出づる街の人々』のシリーズ全体を通しての舞台設定や世界観は、どのように誕生しましたか?
商業作品として連載する前に、コミティアという自主制作マンガ即売会で頒布していたのですが、そこで描いた『飛べぬドラキュラ』というマンガがこの世界観ができる発端となっております。
いろいろな種族が生きているけど、そこに生きる人びとの悩みや感情は現実の私たちと同じ、という世界を描きたいなと思って、このシリーズが始まりました。『飛べぬドラキュラ』は『月出づる街の人々』の単行本には収録されておりませんが、コミティアにて今も頒布しております。
ーー第1話『透明人間少女と狼男少年』のお話は、どのように生まれたのでしょうか?
前述の『飛べぬドラキュラ』はドラキュラの少年が主人公なのですが、そこに透明人間の女の子が姉として登場します。その女の子を主人公として新たにマンガを描きたいと思い、『透明人間少女と狼男少年』が作られました。
ラストの桜の木の下でふたりが本を読むシーンは今でも気に入っているので、ぜひ皆さまに読んでいただきたいです。
ーー『月出づる街の人々』を描くうえで、シリーズを通してこだわっているポイントがあれば教えて下さい。
登場人物たちが、お話のラストで笑顔になってほしいなと思って描いています。また、この世界のキャラクターたちの悩みや思いは、現実世界に生きる私たちにも理解できるものにしたいと思っています。
ーー『透明人間少女と狼男少年』に対する読者からの反応では、どのような声が印象に残っていますか? また『月出づる街の人々』全体への読者からの感想ではいかがでしょうか?
『透明人間少女と狼男少年』では、狼男君がかわいいという意見が多くてうれしかったです。『月出づる街の人々』全体では「世界観がやさしくて好き」という感想が多いように感じます。とてもうれしいです。
このシリーズを描き始めた時期、私も個人的に仕事で大変だなと思うことが多かったので、現実世界に対する願望がこのマンガに現れたのかもしれません(笑)。
ーー『月出づる街の人々』の最新刊となる第2巻が、2023年7月に発売されました。そちらの収録内容や見どころもご紹介をお願いします。
基本的には1巻でも登場した、透明人間の少女、狼男の少年、メドゥーサの少女などのキャラクターたちの新しいお話が描かれています。また、ミノタウロスの少年やセイレーンの少年などの新しいキャラクターも出てくるので、世界がより広がっていれば良いなと思います。透明人間の少女・はるみの赤ちゃんの時のお話も収録されているので、ぜひ読んでいただきたいです。
ーー本シリーズは「次にくるマンガ大賞2023」にもノミネートされています。ご感想やファンへのメッセージなどがあればお願いします。
いつもマンガを読んで下さっている皆さま、本当にありがとうございます! 雑誌のアンケートやSNSで感想を下さることなど、全てが作品づくりの力となっております。
これからも、読んで良かったと思っていただけるマンガを描けるように頑張っていきますので、引き続き酢豚ゆうきを応援していただけるとうれしいです! これからもよろしくお願いいたします!
●酢豚ゆうきさん 前回のインタビュー
(マグミクス編集部)