マンガの超「胸糞」シーン 「何個絶望ブチ込んでくるの?」「永遠のトラウマ」
マンガを読んでいると、物語に感情移入し、心が揺さぶられることは多々あります。しかし、そのなかには、読者が展開に対して憤るような、理不尽なエピソードも存在しました。今回は、そんなマンガの「胸糞」と感じてしまうシーンを紹介します。
やはりイジメは胸糞悪い

マンガの悲劇的な展開は、読者を物語に引き込む重要な要素です。そして、その悲劇を引き起こした悪役への怒りの感情は、物語を読み進める強い動機になります。今回は、そんなマンガの悲劇のなかでも、刺激と衝撃が強すぎた人気作の「胸糞」シーンを紹介します。
●吉野順平の最期『呪術廻戦』
人間の負の感情から生まれる呪霊と、呪術を使って呪霊を祓う呪術師の闘いを描いた『呪術廻戦』は、扱っている題材が重いため、多くの悲劇エピソードもある作品です。そのなかでも、呪霊・真人に弄ばれた吉野順平の最期は、全く救いがなく、作中でもトップクラスの胸糞の悪さでした。
順平は学校で陰湿なイジメを受けており、不登校になっていました。それでも、その状況を理解してくれるシングルマザーの母親・凪が彼の心を支えており、主人公・虎杖悠仁と友達になってからは、彼の荒んだ心は徐々に良い方向に向かっていました。
しかし、呪霊・真人の策略によって、順平を虎杖と戦わせるため、凪の元に特級呪物「宿儺の指」が送られます。そして凪は、「宿儺の指」に呼び寄せられた呪いに殺されてしまうのです。
母親が死んだことで自暴自棄になった順平は、真人に唆され、自分の高校の生徒たちを呪殺しようとします。そして、駆け付けた虎杖と交戦を始めた順平ですが、虎杖の親身な説得で思いとどまろうとしました。しかし、そこに現れた真人の手によって、順平は怪物の姿に改造されてしまうのです。
虎杖は、自身の内にいる宿儺に順平を元に戻すよう懇願しますが、自分の無力さを嘆く虎杖を嘲笑するだけで、手を貸してはくれません。さらに、その様子を見ていた真人も、宿儺につられるように嘲笑を始めます。そんな呪いたちの悪意のなかで、順平は身体を改造された影響から、「ゆ…うじ…」「な…んで?」と言い残し、息絶えたのです。
順平も凪もごく普通の一般人だったこと、そのふたりが呪霊の犠牲になったこと、さらに嘲笑われながら死んだこと、いずれも『呪術廻戦』トップクラスとの「胸糞要素」が揃っています。そこに、現実でも見聞きするたび陰鬱な気分になる「イジメ」が絡んでいることが、胸糞悪さに拍車をかけていました。
●グリフィスが起こした蝕『ベルセルク』
『ベルセルク』は、傭兵団「鷹の団」の切り込み隊長だったガッツと、団長であり親友だったグリフィスとの因縁の物語です。そして、そのガッツがすべてを失い、グリフィスに復讐を誓うことになった「蝕」は、とても胸糞悪くなる惨劇でした。
グリフィスは、親友だったガッツが「鷹の団」を出て行ったことで自暴自棄となり、仕えていたミッドランド王国の王女と姦通してしまいます。それが王にバレたことで、グリフィスは幽閉され、ひどい拷問を受けるのです。やがて、ガッツ含む「鷹の団」の団員たちに救出されるも、グリフィスは手足の腱を切られ、二度と立ち上がれない再起不能の身体になっていました。
自分自身の状況に絶望したグリフィスは、「覇王の卵」に「鷹の団」の仲間を生け贄に捧げ、「降魔の儀(蝕)」を起こします。「鷹の団」の団員たちは、呼び寄せられた魔物たちに残らず食いつくされ、ガッツの恋人・キャスカはゴッドハンドに転生したグリフィスによって、ガッツの目の前で凌辱されたのです。
長年の「鷹の団」の仲間たちがグリフィスに裏切られて絶望のなかで死に、生存したガッツも右目と左腕を失って、キャスカは精神崩壊してしまうなど、あまりにも悲惨な結果となった「蝕」の場面は、「最初に読んだ時の衝撃は忘れられない」「圧倒的な筆致で脳裏にこびりつく」と、伝説のトラウマシーンとして語り継がれています。