「母ちゃんたちには内緒だぞ!」CMもゲームも面白かった『ファミコンウォーズ』 発売から35年
1988年8月12日に誕生した『ファミコンウォーズ』は、程よく遊びやすい難易度で戦略シミュレーション初心者にも幅広く受け入れられました。シンプルかつ奥深いゲーム性、当時話題となったテレビCMの両面から本作の魅力を紐解きます。
子供でも遊べる戦略シミュレーションゲーム
「ファミコンウォーズがでーるぞー!」
「母ちゃんたちにはナイショだぞー!」
一度聞くだけで耳に残るこのフレーズは、任天堂が手掛けたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)用ソフト『ファミコンウォーズ』のTVCMで使われたものです。本作はレッドスターとブルームーンの両陣営に分かれて競い合う戦略シミュレーションゲーム。しかし一般的な同ジャンルの作品よりも敷居は低く、システムの簡略化によって初心者でも取っつきやすい内容になっていました。
発売から35年が経った今もなお、ファンの間で語り継がれる『ファミコンウォーズ』について、今回は筆者が特に印象深く感じた「テレビCM」と「ゲームシステム」に焦点を当てます。
●知名度アップに寄与したインパクト大の実写CM
前もって説明すると、筆者は『ファミコンウォーズ』のリアルタイム世代ではなく、後年になってシリーズ作品を手に取った一介のプレイヤーです。ゆえに先述のテレビCMも発売当時に目にしたわけではなく、2000年代に入ってから存在を知ることになりました。
テレビCMの内容は、端的に言えば「実写をふんだんに使った販促映像」でした。肝心のゲーム画面はいつまでたっても登場せず、画面に映り込むのは筋骨隆々な軍人の訓練風景ばかり。プレイシーンを連想させるようなBGMも無く、冒頭で取り上げたキャッチーなフレーズが全編に響きわたります。
この映像が戦争映画の名作『フルメタル・ジャケット』をパロディしたものだと知ったのは先の話ですが、リアルタイム世代でなくとも興味をそそる、インパクト抜群なテレビCMだったのは間違いないでしょう。
なお、『ファミコンウォーズ』のテレビCMは細部が異なりつつも、いくつかの作品ごとに新バージョンが作られていきました。「ファミコンウォーズを知ってるかい?」の掛け声にくわえ、登場キャストが全員女性へ置き換えられた『ゲームボーイウォーズ』版。「こんどはDSで2画面だ!」と歌いつつ、デッキブラシを手に銭湯へ突入していく『ファミコンウォーズDS』版など、時代を重ねるごとに大きく変化しているのが特徴。それぞれの映像を見比べることで、テレビCMに込められた作品に対するメッセージがおのずと浮かび上がってきます。