映画『SAND LAND』ドラゴンボールに似た絵だけど、どんな作品? 鳥山明氏は「最後のつもり」
2023年8月18日(金)に公開されるアニメ映画『SAND LAND』(原作:鳥山明)は、『ドラゴンボール』と一見、似たような雰囲気も感じますが、どんな物語なのでしょうか?
最高傑作の声も根強い 鳥山明の傑作短編『SAND LAND』
漫画家・鳥山明の傑作『SAND LAND』が、3DCGアニメ映画となって2023年8月18日(金)に公開されます。
原作は2000年に短期集中連載という形で「週刊少年ジャンプ」に掲載されたもので、コミックスは全1巻(14話)。短いながらも鳥山ワールドをフルスロットルで楽しめる作品であり、なかには「鳥山明の最高傑作」と位置づける人も少なくありません。
一方、映画の予告編で初めて本作を知った方からすれば、絵柄や雰囲気からして『ドラゴンボール』的な物語を想像する人もいらっしゃるでしょう。改めて本作の物語とその魅力を振り返ります。
『SAND LAND』というタイトルが示す通り、舞台は砂漠の世界。そこには人間と魔物がそれぞれ暮らしていました。国王が水源を独占しており、水の価値は高まる一方。そこで老保安官のラオは、砂漠のどこかにあるという「幻の泉」を探すべく、悪魔の王子・ベルゼブブとともに危険な冒険へと繰り出していく……というもの。これ以上ないほどに美しい、王道活劇の幕開けです。
物語が進むにつれ保安官ラオの過去、国王軍が隠し続けている「ある秘密」が明かされ、息をつく暇もない展開に圧倒されるのですが……これ以上はネタバレとなるので割愛させていただきます。
鳥山明作品には必ずと言っていいほど「かっこいいジジイ」が登場しますが、とりわけ『SAND LAND』はまさに「ジジイ漫画」の最高峰です。寡黙で謎めいた雰囲気のラオ、茶目っ気たっぷりの世話係のシーフ、そして対峙する国王軍のゼウ大将軍、スイマーズのパパなど、物語の鍵を握るのは実に多様な「ジジイ」たちです。彼らが操る鳥山デザインの丸みを帯びたメカニックもまた最高です。
なお鳥山明氏は本作執筆時を振り返り「最後のつもりで今の自分を出し切った作品を描いてみようと思いました」とコメントを発表。戦車、メカ、ジジイ、魔物……「鳥山濃度」が最も高い作品のひとつであることは間違いないでしょう。連載から20年以上の時を経て映像化される『SAND LAND』の公開を楽しみに待ちたいと思います。
(片野)
※映画『SAND LAND(サンドランド)』は2023年8月18日(金)より全国公開の予定です(上映時間106分)。