「マジで完成度高い」 『ワンピース』史上最高と呼ばれる「伏線回収」とは
およそ「20年越し」の伏線回収も?
エピソードのなかに織り込まれた伏線も秀逸ですが、『ONE PIECE』ではコミックスの表紙にも見事な仕掛けが隠されています。25巻のルフィ、シャンクス、バギー、黒ひげ(ティーチ)の4人が描かれた表紙は、ここ最近「およそ20年越しの伏線回収」として大きな話題になりました。
当時は、ルフィやバギーは「少し名の知れた海賊団の船長」程度の立ち位置でした。しかもルフィを除くメンバーは本編に登場こそしますが、25巻の主軸である「空島編」には関わってきません。通常、単行本の表紙はその巻で活躍するキャラクターが描かれる傾向にあるため、当時から「なぜこの4人が表紙に……?」と疑問に思った人もいたようです。
しかし、それからおよそ20年後に発売されたコミックス105巻にて、ルフィ、シャンクス、バギー、黒ひげが「新たな四皇」として名を連ねました。おまけに105巻の表紙にも、25巻のときと同じ配置、同じポージングで4人の姿が描かれているのです。
もしかしたら25巻の表紙は本編の内容に合わせたものではなく、未来の四皇を暗に示していたのかもしれません。
またどこまでが伏線で、どこからが深読みなのか定かではありませんが、ファンの間では「表紙の中央で紙を食べているヤギは、今後彼らが神(天竜人)に食らいつくことを暗示している」「シャンクスの裏で親指を立てている親方(=ボス)は、シャンクスがラスボスであることを指しているのではないか」などの憶測も広がっています。
ひと口に伏線といっても、その描き方は実にさまざまです。こうして見ていくと、『ONE PIECE』には遊び心に満ちたギミックが無数に仕込まれていることが分かります。現在、見過ごされている要素のなかにも、実は驚きの伏線が隠されているのかもしれません。
(ハララ書房)