【漫画】「フリマアプリ依存」が発端で会社をクビに ワンオペ母の満たされない日々とは
夫とともに働きながら2児を育てていた女性は、ある日突然会社をクビに。それまでの彼女はワンオペ状態の育児と家事に追われ、会社でも保育園でも謝ってばかりの日々。疲れた彼女に快感を与えてくれたのはフリマアプリで……。漫画家・駒井千紘先生が連載中の『満タサレズ、止メラレズ』に気付きと共感をもらえます。
「生きづらさ」を抱える女性が何かに依存していく

年下の夫とともに働きながら2児を育てていた村田麻衣。彼女はある日突然会社をクビになりました。それまでの麻衣はワンオペ状態の育児と家事に追われ、会社でも保育園でも謝ってばかりの日々。疲れた彼女に快感を与えてくれたのはフリマアプリでした。そしてフリマアプリでの買い物や出品にのめり込み、どんどんエスカレートしていき……。
漫画家・駒井千紘先生( @chihiro_komai )が「恋するソワレ+」にてマンガ『満タサレズ、止メラレズ』を連載中です。満たされない日々を埋めるかのように、何かに依存していく女性の姿を描いた物語で、さまざまな主人公が登場します。なかには「自分にも思い当たる」と感じるエピソードもあるかもしれません。自分の「依存」に気付くきっかけになるかもしれない1作です。
『満タサレズ、止メラレズ』は電子書籍版が8巻まで配信中で、「コミックシーモア」にて2023年8月25日まで1~2巻無料キャンペーンを開催中です。作者の駒井千紘先生にお話を聞きました。
ーー駒井千紘先生の漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。
新卒で大手メーカーに5年勤務しましたが、絵を描くことを仕事にしたいという夢があり、イラストレーターに転身しました。仕事も軌道に乗ってきた頃に、お台場で開催された「クリエイターEXPO」というクリエイターの見本市みたいなものがあり、出展したところ、たまたまマンガ編集の方にお声がけいただき、マンガの経験はなかったんですが、突然Web媒体で週刊連載することになりました。
ーー『満タサレズ、止メラレズ』のお話はどのように生まれたのでしょうか?
大学生の頃、授業の課題で「依存症」についてリサーチする機会があり、そこでいろいろな依存の種類があることを知りました。依存症と聞くと薬物やアルコールのイメージが強いせいか、すぐに「薬や酒におぼれるダメな人間」=「自己責任」と、短絡的に結びつける人も多いです。しかし実際は買い物、ゲーム、SNS、人間関係など、いろんな依存の対象があって、その罠にハマる可能性は誰にでもあるんです。
調べれば調べるほど、自分にも知人にも心当たりがあって、過去を振り返ると程度の差はありますが「あの時は〇〇に依存していたんだな」と感じることがあります。そういう知識は、今後の自分を守ることにも、相手を労わることにもつながる大事な情報で、広く知ってもらえたらと思い執筆をしました。

ーー1話では仕事と育児の両立でストレスを抱える主婦がフリマアプリに依存していく様子がリアルでした。1話を描くうえで工夫なさったこと、心がけたことなどはありますか?
本作品はすべての回で女性が主人公です。女性が何かに依存する時は女性特有の「生きづらさ」が背景にあるという内容を本で読みました。母親らしくなきゃいけないとか、男性から見て魅力的でなきゃいけないとか、社会による女性像の押し付けが女性を苦しめているんです。
その日々の苦しみを、夫婦間の家事育児負担の不平等や、育児中に職場で肩身の狭い思いをする……という描写でモヤっとする共感を呼ぶようにしています。
ーー2話以降の展開が気になりますが、見どころをお話できる範囲で教えて下さい。
このあともさまざまな生きづらさを抱えた女性が何かに依存していきます。社会的背景はさまざまな女性たちですが、生きづらさの裏に自己肯定感の低さが共通項としてあります。なぜ彼女たちは自己肯定感が低くなってしまったのか、ぜひ続きを読んでみてください!
ーー今後の創作活動について教えて下さい。
私自身の創作でのこだわりは、ただの娯楽としてのマンガではなく、何かしらの学びや気付きを得られる作品を作りたいということです。
今後は、今まで作られ続けてきた王道パターンの物語はAIでも作れるようになってくると思います。漫画家という職業すらなくなる可能性もあります。しかしネット上では得られない、専門書の情報を処理して物語に織り交ぜ、絵で表現する作業は、まだAIには難しいと思います。
2017年~2021年に連載していた、不妊治療を題材にした『妊活夫婦』は未だに専門誌から取材がきます。読んだことで世界が広がるような、そんな創作活動ができればいいと思っております。
(マグミクス編集部)