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「24時間テレビ」の裏側は地獄だった? 手塚治虫アニメ『バンダーブック』の最恐エピソード

1978年に始まった日本テレビ系「24時間テレビ」の第1回放送で最高視聴率を記録したのは、手塚治虫氏が原案・総監督を務めた2時間アニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』でした。多くの視聴者を楽しませた手塚アニメですが、その舞台裏は壮絶さを極めていたことが知られています。「マンガの神さま」が恐ろしく感じられます。

「アニメスペシャル」第1弾として視聴率28%を記録

アニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』を収録した、「手塚治虫×24時間テレビ 100万年地球の旅 バンダーブックDVD BOOK」(宝島社)
アニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』を収録した、「手塚治虫×24時間テレビ 100万年地球の旅 バンダーブックDVD BOOK」(宝島社)

 夏の風物詩として、日本テレビ系で毎年8月にオンエアされる「24時間テレビ 愛は地球を救う」は、すっかりおなじみとなっています。チャリティーキャンペーンを主体にした特別番組として1978年に始まり、2023年は8月26日(土)から27日(日)にかけて放送されることが決まっています。

 長時間の生放送番組として毎年さまざまな反響を呼ぶ「24時間テレビ」ですが、記念すべき第1回放送で番組最高視聴率を弾き出したのは、「アニメスペシャル」として手塚治虫氏が総監督を務めた『100万年地球の旅 バンダーブック』でした。1978年8月27日、日曜日の午前10時から正午まで放映され、視聴率28%を記録しています。

 夏休み中の子供たちは、長編アニメの新作をテレビで無料視聴できることに大喜びでした。以来、「アニメスペシャル」は「24時間テレビ」の目玉番組となったのです。しかし、その舞台裏は「愛は地球を救う」というキャッチコピーとは裏腹に、生き地獄のような日々だったことが知られています。

アニメの夢を諦められなかった「マンガの神さま」

「マンガの神さま」と呼ばれる手塚治虫氏ですが、1970年代は波乱続きでした。国産初となるテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』(フジテレビ系)などの大ヒット作を生み出したアニメスタジオ「虫プロダクション」は、1973年に倒産してしまいます。アニメ制作による赤字を、手塚氏はマンガ執筆の原稿料で補填していたのですが、やはり限界がありました。

 しばらくは本業であるマンガ執筆に専念していた手塚治虫氏でしたが、医療マンガ『ブラック・ジャック』などのヒット作を放ち、再びアニメ制作への意欲を燃やすようになります。「24時間テレビ」内で、世界初となる2時間の新作アニメを放送するという企画に、手塚氏は魅了されてしまったのです。

 手塚治虫氏が原案・総監督を務めた『100万年地球の旅 バンダーブック』は、宇宙を舞台にしたSF冒険ストーリーです。宇宙船の爆破事故から逃れた人間の赤ちゃんが、ゾービ星の王と王妃のもとでバンダーと名付けられ、たくましく育つことに。やがてバンダーは自分の生い立ちを知り、故郷・地球への帰還を目指す……という王道的な英雄譚でした。ブラック・ジャック、ヒゲオヤジ、写楽といった手塚マンガの人気キャラたちが意外な役で登場し、奇想天外な物語を繰り広げます。

 この作品が好評を博したことから、その後も『海底超特急マリン・エクスプレス』『フウムーン』『ブレーメン4 地獄の中の天使たち』……と、手塚アニメが毎年オンエアされたのです。

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