80年代ラグビー漫画『ウォー・クライ』は、日本vsオールブラックスの激闘を予言?
ラグビー日本代表のW杯での快進撃で、ラグビーがかつてないほどの注目を集めています。学生時代にラグビーをかじった人も、ラグビーのルールがよく分からない人も、読んで熱く盛り上がれるのが、竜崎遼児氏による熱血マンガ『ウォー・クライ』です。同作は破天荒な内容ながら、ラグビーの本質的な面白さを描いていました。
ドラマ『スクール・ウォーズ』よりも早かった連載マンガ

2019年9月20日(金)から開催されているラグビーW杯2019日本大会では、日本代表チームが強豪アイルランドやスコットランドを撃破し、日本ラグビー史上初となるW杯決勝トーナメント進出を決めました。
これまで国際ラグビーでは「ティア1」と呼ばれるラグビーの伝統国(ウェールズ、イングランド、アイルランド、スコットランド、フランス、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなど)が圧倒的な強さを誇ってきたのですが、日本はアジア勢として初めてその“順列”を打ち破り、念願のW杯ベスト8入りを果たしました。優勝候補の一角・南アフリカを相手にした準々決勝(10月20日開催予定)で、日本代表がどんな闘いを見せてくれるのか楽しみです。
ラグビーを題材にした作品といえば、伏見工業高校をモデルにした『スクール・ウォーズ 泣き虫先生の7年戦争』(TBS系)や、池井戸潤の企業小説を原作にした『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)などのTVドラマが有名ですが、『スクール・ウォーズ』が放映された1984〜85年よりもひと足先に、ラグビーという競技のワイルドな魅力に迫った人気マンガがありました。1980〜81年に「少年ビッグコミック」(小学館)で連載された、竜崎遼児氏による『ウォー・クライ』です。
“ウォー・クライ”とは、ラグビーの試合前にチーム全員で行う鬨(とき)の声と踊りで、世界最強と目されるニュージーランド代表が試合前に士気を鼓舞するために行う「ハカ」が広く知られています。国家代表に選ばれた屈強な男たちが分厚い手を叩き、丸太のような足を踏み鳴らす様子は、選手だけでなく試合を観戦している人たちの心も熱くたぎらせるものがあります。走る格闘技ともいえるラグビーの面白さ、熱さ、危険性を、マンガ『ウォー・クライ』は余すことなく描いています。
物語の舞台となるのは、都内に新設された扶桑高校ラグビー部です。この高校の蓬萊校長は、かつてはラグビー日本代表の監督を務めたこともある人物です。全国から不良中学生たち15人をスカウトし、ラグビー部を創設したばかりでした。
エネルギーを持て余している15人は、手の施しようもない悪童ばかり。そんなラグビー部の監督に就任したのは女性教師の冴木麗緒(さえき・れお)です。あらゆるスポーツに精通している冴木は格闘技にも優れ、部員たちから「アマゾネス」と恐れられることになります。そのアマゾネスの指導のもと、意外性に満ちたチームとの練習試合が次々と組まれることになるのです。