若い世代は知らない? 危険で魅力的だった「ゲームセンター」 先生が止めても行きたかったワケ
現在のアミューズメントパークは誰でも楽しめるレジャースポットですが、90年代の「ゲーセン(ゲームセンター)」はひと味違います。アンダーグラウンドな治安の悪さで知られるゲーセン文化を、筆者の体験とともに振り返ります。
今は「アミューズメントパーク」、昔は「ゲームセンター」
UFOキャッチャーやプリクラ、メダルゲームが並ぶ現代の「アミューズメントパーク」は子供から老人まで楽しめる街のレジャースポットです。しかし90年代のいわゆる「ゲーセン(ゲームセンター)」文化を知る世代からすると、その変貌ぶりに感嘆せざるを得ません。
90年代のゲーセンは、いわば当時のアミューズメントパークであり、ゲーム好きの青年や少年たちの遊び場でした。その多くがタバコの煙が漂う薄暗い空間で、時には治安の悪さも問題となりました。この記事では、筆者の当時の経験を交えながら懐かしのゲーセン文化を振り返ります。
●対戦格闘ゲームの熱量が凄い!
90年代のゲーセン文化において欠かせないのが対戦格闘ゲームです。アーケード版『ストリートファイターII』(通称:ストII)の大ヒットにより、多くの若者がゲーセンに集まり、日々熱戦を繰り広げていました。
その興奮は頂点を超え、時にはゲームで負けた者が筐体に怒りをぶつけること(台パン)もありました。また、強力な技ばかりを使う行為が対戦相手の神経を逆なでし、店内でリアルファイト(喧嘩)が発生することも珍しくありませんでした。
さらに、怖い先輩に金品を強奪される「カツアゲ」に遭遇する危険もあるため、常に自己防衛の意識が求められていました。ゲームプレイのスキルだけでなく、リアルに危険を避ける能力が試されるのが90年代のゲーセンでした。
●若者の社交場
喧嘩やカツアゲのリスクに加え、当時のゲーセンにはタバコの煙が充満していました。喫煙者は大人だけではありません。喫煙者のなかに制服姿の中学生や高校生までもが混じっていました。当時は嫌煙文化が今ほど強くなく、タスポカードもありません。今よりもタバコの価格が手頃だったこともあり、学生でも簡単にタバコを手に入れることができたのです。
ゲーセンには対戦ゲームを中心とした、荒っぽいコミュニケーションや未成年の喫煙といった非合法でアングラなカルチャーがありました。この「お行儀の悪さ」が、ある意味ゲーセンを若者たちの社交場として位置づけていたのです。
●いかつい店主
ゲーセンは無法地帯のような面もありましたが、それなりの秩序が保たれていました。不思議なことに、栄えているゲーセンの店主はいかつい印象の人が多かったのです。決してアミューズメントパーク店員のような、きとんと制服をまとった風貌ではありません。
今振り返ると筐体を設置すれば利益が出るという「水物商売」なビジネスモデルが「そのスジ」の人と関係していたのかもしれません。今となっては確かめる方法はありませんが、当時は景気も良かったので、1台の筐体から毎日かなりの売上があったはずです。