ファミコンクソゲーの代表格? 今も人気な『たけしの挑戦状』の「裏話」
ファミコン史上、もっとも有名なクソゲーといえば、『たけしの挑戦状』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか? いまだ多くのゲームファンから語り継がれる伝説の作品ですが、SNSやネットではあまり知られていない情報も多く提供され、ファンの間で盛り上がりを見せています。
なんだかんだ「クソゲー」と言い切れないところが魅力?
ファミコンから発売された「クソゲー」の代表格として、多くの人の記憶に残っているのが、タイトーから発売された『たけしの挑戦状』ではないでしょうか。タイトルの通り芸人のビートたけしさんが開発に関わり、それまでのゲームとは違った理不尽な高難易度の内容で多くのプレイヤーを苦しめました。しかし、発売から35年以上経っても、ネットやSNS上ではいまだに語り継がれる伝説のソフトでもあります。
そもそも同作は、波乱の発売日を迎えたことも注目を集めていました。発売日の1986年12月10日の前日に、たけしさんが「たけし軍団」の一部の芸人たちと一緒に、あの講談社での「フライデー襲撃事件」を起こしていたからです。この事件で、たけしさんたちは芸能活動を自粛し、放送されていた『たけしの挑戦状』のTVCMが打ち切られる事態に発展しました。
しかし、同作は予定通りに発売され、ヒットを記録します。不祥事があったにもかかわらず、予定通り発売してしまう感覚は現在にはないかもしれません。今でもネット上で、「発売日の伝説感がすごい」「今なら販売自粛でしょう。これこそまさに『たけしの挑戦状』だったのでは」など、さまざまなコメントが出ています。
何事もなかったかのごとく発売された『たけしの挑戦状』は、その難易度で「まさにクソゲー」と誰もが認め、攻略本が必須の作品だったことも有名です。ざっと説明すると、ごく普通のサラリーマンが「非日常」に巻き込まれ、会社を辞めて南海の島へ旅立ち、そこで宝を探して一攫千金を夢見る、という内容ですが、選択肢や行動範囲の自由度は多いにもかかわらず、謎を解いてクリアするまでのルートは基本的にひとつしかなく、ヒントも極端に少ないため、途中で投げ出した人も多いのではないでしょうか。
また、最初に発売された攻略本も情報が少なく、プレイヤーから「攻略本を読んでもクリアできなかった」と苦情が殺到したそうです。そして、内容が分かりやすくなった2冊目の攻略本が発売されました。
その他、不思議なことに同作はサブタイトル「ポリネシアンキッド 南海の黄金」をパッケージには記載していませんでした。なぜか公表することもなく、プレイ中に条件を満たさないと画面に表示されないというシュールな仕様だったのです。SNS上でも「ほとんどの人が見たことないんじゃない?」「心の底からめんどくさいゲームだった」と、こちらも話題になっています。
今までのゲームにはなかったような難解な内容が特徴ですが、開発当時たけしさんの付き人をして、近くで見ていたキドカラー大道さんのブログによると、同作の開発前にたけしさんは『ポートピア殺人事件』(1983年発売)を熱心にプレイしていたそうです。
そして、ゲームをプレイしながら面白いゲームのアイデアが浮かんだらメモをして、いずれ自分でもゲームを作りたがっていた様子だったことを明かしています。そして、後日タイトーからゲーム開発の話が持ちかけられるのです。
タイトー側は名義貸しをしてもらうつもりで、ゲームの内容を企画していたそうですが、たけしさんの持っていたアイデアを多く反映した形の作品となりました。クソゲーについてまとめた書籍『超クソゲー』によると、最初は『オレたちひょうきん族』のキャラクター「タケちゃんマン」が主人公の横スクロールのシューティングゲームになる予定だったそうです。ゲーム作りに慣れたメーカー主導ではなかったからこそ、ゲームの常識を覆す作品となり、現在も多くの人に語られる作品となったのかもしれません。
そんな『たけしの挑戦状』は、現在はスマホでプレイすることが可能となっています。新要素として「あめりか」ステージが登場し、本編には関係ないですが、ブロードウェイやセレブたちが住むタワーなどの場所に行けるようにもなっています。さらに同作に登場する南の島・ひんたぼ島の住民が話す、「ひんたぼご」の検定に挑戦できる要素も追加されました。
発売されて40年弱が経ちますが、超えていまだ多くのゲームファンから語り継がれる『たけしの挑戦状』は、これからプレイする人たちからも、敬意を持って「クソゲー」と言われ続けるかもしれません。
(LUIS FIELD)