メタルヒーロー『ジライヤ』が忍者界に起こした奇跡? 最終回の予言が「現実」のものに
メタルヒーローシリーズ第7作「世界忍者戦ジライヤ」は特撮番組でありながら、現代に忍術を伝えた戸隠流三十四代宗家初見良昭氏が出演し、忍術指導もおこなった異色作です。最終回では筒井巧演じた主人公の闘破が「戸隠流三十五代を継ぐ」というナレーションで終わっています。なんと番組が終了し31年後にその予言が的中することになるのです。
世界中の忍者と、多彩な技を競い合う
「ジライヤ~ジライヤ♪」というテーマソングのフレーズが耳から離れない『世界忍者戦ジライヤ』は、現代に生きる忍者の戦いを描いたメタルヒーローシリーズのなかでも異色中の異色な作品でした。同番組はメタルヒーローシリーズの第7弾として1988年から放送されましたが、番組が終了して約31年後に、まさかの奇跡を起こすことになるのです。
『世界忍者戦ジライヤ』の前作にあたる『超人機メタルダー』は、前年に公開された『ロボコップ』の影響を受けて、アンドロイドが主人公でした。『世界忍者戦ジライヤ』はその逆を行き、今までのメタルヒーローにはなかった人間的なアクションやドラマが盛り込まれています。
主人公・山地闘破は戸隠流忍法の三十四代宗家「武神館館長」である山地哲山の養子で日々忍術修行に励んでいました。世界の秘宝パコを守るため「ジライヤ」となって、悪の忍者妖魔一族と対決するのです。
ジライヤが戦うのは妖魔一族だけではありません。日本だけでなく世界中でさまざまな忍術が独自に発展しており、ジライヤは世界の忍者と技を競い合います。これが「世界忍者戦」というタイトルのもとになっており、ソウルオリンピックが開催された1988年にちなんで、忍者オリンピックの要素が盛り込まれたようです。
敵の忍術には音忍、獣忍、雷忍、水忍、など現代の『鬼滅の刃』の呼吸に似た、さまざまな能力が登場し、ジライヤと対決しました。初期の闘破は忍者としてはまだまだ半人前で、戦いの中で壁にぶち当たりながら、哲山の教えを受けて一歩一歩成長していきます。
忍者らしく動きやすくするためでしょうか、これまでは全身メタリックだったスーツがジライヤに限っては、軽装になっていました。
また、それまでのシリーズは、主人公の家族関係や日常生活が描かれることはほとんどありませんでした。しかし闘破は家族のために料理や掃除をして、アルバイトをこなします。
闘破の妹弟も頼りっぱなしではありません。女子高生の義妹・ケイは姫忍 恵美破(えみは)として、小学生の義弟・学も途中から忍者スーツを着てジライヤを助けます。恵美破と同様にくノ一の衣装はメタルではなく、エアロビクス用のレオタード風になっています。