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最近の「アニメ作品のテンポ」は速くなった? 転換点は「2005年前後」 背景に製作形態の変化も

20年以上前のアニメと比較すると、近年のアニメはテンポが速くなっている? 作品内容の展開が加速している背景には何があるのでしょうか。 調査を行ったところ、2005年前後の作品にそのヒントがありました。

2001年と2006年のアニメを比べて「速度の違い」に驚く

2006年に放送され、スピーディな展開で知られるアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』キービジュアル (C)SUNRISE/PROJECT GEASS Character Design ?2006 CLAMP・ST
2006年に放送され、スピーディな展開で知られるアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』キービジュアル (C)SUNRISE/PROJECT GEASS Character Design ?2006 CLAMP・ST

 20年以上アニメを見続けている熱心なファンの方は、近年のアニメのテンポが速くなっていると感じていませんか?

 今年2023年春に、YouTubeのサンライズチャンネルで筆者が大好きなアニメ『スクライド』が最終回まで配信されました。当然、大喜びで再生し、カズマと劉鳳の熱いド付き合いを楽しませてもらったのですが、少々気になる点がありました。なんとなく「テンポが遅い」と感じたのです。

 近年のアニメはテンポが高速化しており、昔のアニメを見るとテンポが遅いと思うことは確かに増えています。果たして、いつごろからアニメ作品のテンポは高速化したのでしょうか。

『スクライド』の監督は谷口悟朗氏で、『コードギアス 反逆のルルーシュ』を代表作に持つヒットメーカーです。『反逆のルルーシュ』はかなりテンポが良い作品だと記憶していたため比較対象として見直してみたのですが、『スクライド』と比べるとやはりテンポが速く、現在のアニメとほぼ同等のスピード感であるように思えました。

『スクライド』が放送されたのは2001年、『コードギアス』が放送されたのは2006年と、その間は5年しか離れていません。他にも複数の作品を確認しましたが、おおむね2005年あたりからテンポの高速化が顕著となっています。

 なぜ、この時期にアニメのテンポが高速化したのでしょうか。まず第一の理由としては、1クール(四半期)アニメの増加が挙げられるでしょう。1980年代までは、TVアニメは2クール(半年)から4クール(1年)放送されることが多かったのです。1990年代に入り、徐々に1クールアニメが増え始め、1996年に放送された『エルフを狩るものたち』が深夜枠を開拓したことを皮切りに、勢いを増すことになりました。

 1990年代後半に入ると『新世紀エヴァンゲリオン』の成功がきっかけで複数の企業が出資を行う「製作委員会方式」のアニメが定着していましたが、出資企業として出版社が参加することも多く、結果として原作つきアニメを1クールで制作するパターンが増加しています。原作の内容をできるだけ多くアニメのなかに詰め込むためにはテンポを速くする必要が生じるわけですが、この90年代後半の原作つきアニメはまだアニメオリジナル要素で構成されることも多く、テンポの加速は始まってはいたものの、まだ目立つ段階ではなかったようです。

【画像】実際見たらやっぱり速かった? 展開スピードが話題になったアニメ作品たち(5枚)

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