「声優交代」は昭和アニメでは珍しくなかった? レジェンド声優にまつわる制作裏話
「声優交代」は昔から珍しくなかった? 昭和名作アニメにおけるレジェンド声優たちの裏話とは。
名作SFアニメにまつわる「声優交代」
ちまたでは、人気TVアニメーションのキャラクターの声優さんが交代する云々という話が話題になっているようですが、昔から声優交代は決して珍しいことではありません。
体調等の具合はもちろんのこと、スケジュールの関係や所属事務所の都合もあれば、制作側の都合のこともあります。まして、前作から期間が空いていれば、互いの状況が変わるのはごく自然なことですよね。
たとえば『機動戦士ガンダム』の後半に登場したスレッガー・ロウは、TV本放送時は、あの『ターミネーター』でも有名なハリウッドの大スター、アーノルド・シュワルツェネッガーの吹き替えを担当しているベテラン声優、玄田哲章さんが演じていました。『シティーハンター』の海坊主や『魔神英雄伝ワタル』の龍神丸などでご記憶の方も多いでしょうね。懐かしいところでは、昨今、実写化で話題の『超電磁マシーン ボルテスV』で、主人公の剛三兄弟のひとり、剛大次郎役も玄田さんです。
劇場版でスレッガーを演じたのは、『ルパン三世』の石川五右ェ門や『宇宙海賊キャプテンハーロック』のハーロック役などで多くのファンを持つ、故・井上真樹夫さんです。井上真樹夫さんは『勇者ライディーン』で、ニヒルな神宮寺力役を演じておられ、当時アフレコ現場で幾度かお話したことがあります。焼き鳥の「ねぎま」の「ねぎ」がお好きで、ネギばかり食べてしまわれるとか、記憶力が優れていらっしゃるのでしょう。私などのことも覚えていてくださり、収録中のスタジオ内からでも、目が合うといつもにっこりと微笑んでくださる優しい方でした。
また、上記の『ハーロック』が、まだパイロット版(本制作に入る前の試験映像)では、『忍風カムイ外伝』のカムイ役などをなさった中田浩二さんがハーロックを演じていらっしゃいます。中田さんと言えば、ドラマでも数多く活躍されているレジェンド俳優さんですが、昭和半ば生まれの自分などには、イギリスの特撮マリオネットSFドラマ『キャプテンスカーレット』(日本放映は1968年)のイケメン主人公、スカーレットの印象も強く、個人的には、あのカッコよく渋い声での「中田版ハーロック」も是非見たかったと今でも思います。