【漫画】「酔っていた」は言い訳にならない 性被害を受けた女性の実体験に「同性なのに知らなかった」
22歳の頃に沖縄の飲食店でバイトをしていた三森さん。カウンターバー越しにお客さんとコミュニケーションをとる機会が多く、楽しく仕事をしていました。上司やお客さんと飲み会をすることになりますが……。作者の三森みささんにお話を聞きました。
相談しなければ知らなかった「事実」とは
性被害者ワンストップ支援センターにて過去の出来事について相談する三森さん。沖縄にいた22歳頃の話をしています。当時、バイトをしていた飲食店はお客さんとの距離感が近い職場で、楽しく働いていました。しかし、ある日の出来事がきっかけで、心に傷を負ってしまい……。
三森みささん(@mimorimisa)によるマンガ『性被害を告白した話』がTwitter(現:X)上で公開されました。いいね数は1.4万を超えており、読者からは「つらい出来事ですが、相談するって大事ですね」「法律、被害者の状況など知らないことが多かったです」「同じような経験があるので、このマンガに救われた気がします」などの声があがっています。
作者の三森みささんにお話を聞きました。
ーー今作『性被害を告白した話』を描いたきっかけや、理由があれば教えて下さい。
もともとはPTSD治療体験談マンガのなかのひとつとして作った話でした。マンガを作る中でPTSDについて調べていたのですが、PTSDの要因のなかでも性被害は発症率が高い。それにも関わらず、社会からはいまだに偏見があり、これは啓発が必要だなと思って描いた次第です。
ーーとても繊細な内容だと思いますが、今作を描くうえで気を付けたことや工夫した点などはありますか?
性的な部分はストレートに隠して描くようにしました。Twitter(現:X)に引っかかるからというのもあるのですが、一番の理由は性被害者の方がフラッシュバックしないように。もうひとつは、性被害の話は二次加害自体もひどいのですが、特に男性に向けて話すと、性的に興奮する材料に取られることがあるので、それを防ぐために隠すようにしました。
あと私は自分の話をするときに、暗すぎる、救いがない、シリアスすぎる作風で描くのは苦手なのですが、この話だけは性被害の深刻さを伝えるために茶化して描いちゃダメだなと思いまして、当時のしんどさをそのまま描きました。
ーーたくさんの感想が寄せられていますが、特にうれしかった感想の声、印象に残った読者の声について、教えて下さい。
「これを性被害と言ってよかったんだな」「この体験談を描けるなんて勇気がある」「読んでいて自分ひとりではないと救われた」というご意見をいただけてうれしかったです。
一方で二次加害が被害者を追い詰めるという話をしているのに「被害者(私)がこんな行動するからダメなんだ」というコメントをする人もいてびっくりしました。性被害に対する社会の偏見はまだまだ根深いのだなと感じます。
ーー性被害を受けた方の心理や、法律の問題などが詳細に描かれていました。被害者への理解不足など、あまり知られていない性被害を取り巻く環境が多いことに衝撃を受けました。今作に込めた思いや、伝えたいことなどがあれば教えてください。
私自身も、性被害者支援センターに行くまでは、まったく知らなかったことばかりでした。ネットで性被害の話など聞くけれど、実際被害にあったとき、どこにいけばいいのかさえまったく知らなかったのです。
運よくいい職員さんにあたったので、いろいろ知ることができて感謝しています。私自身の知らなかった、もっと早くに知りたかったことはおそらくほかの人にも同じだろうなと思って描きました。
同じように「これが被害だと思わなかった」「どうすればいいのかわからない」と思っている当事者の方に、必要な知識が届けばいいなと思っています。
ーー今後、Twitter(現:X)で発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
8月の末までは、このマンガの続きを描くためにクラウドファンディングに集中して、トラウマ治療のマンガを書いていきたいと思っています。いつか、まとめる機会があれば性被害にだけ焦点を当てたマンガも描いていきたいですね。
●2024年制作決定! MOTION GALLERYの『虐待と性被害。その後遺症を最新心理療法で治療した、実体験の漫画を描きたい!』(著:三森みさ)
(マグミクス編集部)