『ワンピース』実写化は大成功! 秘訣は圧倒的な作品理解か?
世界中で高い評価を獲得しているNetflixの実写版『ONE PIECE』について、原作ファンもおおむね満足しているようです。数あるアニメ実写化作品の中でも、『ONE PIECE』が成功したのはなぜでしょうか?
4日間で全世界視聴回数1850万回突破!
全世界累計発行部数5億部突破の大人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』は、Netflixにて2023年8月31日から公開された実写版も高い評価を獲得しています。原作ファンをもうならせる高いクオリティの秘訣について考察しましょう。
●コスプレ感のないルックスがすごい!
まずは作品の第一印象を左右するキャラクターです。実写版をはじめて目にしたとき、その確かな質感に驚かされました。キャラクターの特徴が現実的な衣装で実現していたからです。
マンガやアニメのキャラクターは2次元での表現に特化しており、特徴を誇張したデザインが盛り込まれているため、実写で忠実に表現すると違和感を生じます。たとえば実写版『ONE PIECE』でタズ・スカイラー演じるサンジの眉毛が渦巻いていたり、ジェイコブ・ロメロ・ギブソン演じるウソップがピノキオのような鼻をしていたら、ドラマへの没入感が削がれたことでしょう。
●マンガっぽいのに違和感がない不思議なキャスト
現実寄りのデザインに落ち着いた麦わら海賊団のメンバーとは対象的に、原作に忠実なデザインであるにもかかわらず、まったく違和感のない人物もいます。例えばミホークは原作からそのまま抜け出してきたようなルックスです。サンジのぐるぐる眉毛が修正されたのに対し、不自然に整ったミホークの眉毛やもみあげ、ヒゲは原作そのままです。
海軍のネズミ大佐はネズミの耳のついた帽子をかぶって変なヒゲを生やしていますし、赤髪海賊団のラッキー・ルウは、現実にはありえない「マンガ肉」を持っています。シリアスなシーンが多いガープも、リアルだったら絶対に立場のある成人男性が公の場でかぶったりしないような変な帽子を身につけていました。
上記の例はいずれもマンガっぽい解釈なのですが、不思議と画面になじんでおり、修正すべき特徴とそうでない特徴の違いがどこにあるのか良く分かりません。実写版『ONE PIECE』はキャラクターデザインの取捨選択、解像度調整のさじ加減が絶妙だといえるでしょう。
なお2023年8月11日より公演されたアイスショー『ワンピース・オン・アイス』では、原作そのままのコスチュームが採用されています。同じ『ONE PIECE』を題材としていながらも、ドラマとアイスショーというメディアの違いによって、3次元に実装される表現の正解が異なるようです。