ちょっと待て! のび太の「お嫁さん」はいつからジャイ子からしずかに変わったのか? 原作を徹底検証
『ドラえもん』作品世界において、のび太の未来のお嫁さんがしずかであるのは周知の事実です。しかし『ドラえもん』第1話では、未来のお嫁さんはしずかではなくジャイ子でした。いつから歴史が塗り替えられ、のび太の嫁はジャイ子からしずかに移ったのか? 原作マンガを紐解いてみました。
衝撃! 『ドラえもん』第一世代はジャイ子がお嫁さんのまま終了

ドラえもんと一緒に暮らす野比のび太の未来のお嫁さんは、「しずかちゃん」こと源静香であることは広く知られています。映画『STAND BY ME ドラえもん2』でも、のび太としずかの結婚前夜のエピソードが描かれて、もはやその事実を否定する人はいないでしょう。しかし、原作マンガ『ドラえもん』第1巻の第1話では、のび太はジャイ子と結婚するとあるのです。いったいいつから、のび太はしずかと結婚することになったのか、改めて原作マンガの内容を追ってみました。
記念すべきドラえもんの第1回『未来の国からはるばると』で、のび太はジャイアンの妹・ジャイ子と結婚することになっています。そもそもドラえもんがのび太の玄孫であるセワシとともにのび太のもとへやってきたのは、のび太の未来を変えるためでした。
その理由はのび太の未来にありました。のび太はジャイ子と結婚した数年後、会社を倒産させてしまいます。以後、借金が玄孫の代まで続き、セワシの小遣いは50円。ジャイ子との結婚が全ての不幸の原因と断定されており、彼女にしてみればとんだ濡れ衣です。
のび太とジャイ子が結婚して生まれた子供の子孫がセワシということは、未来が変わってしずかと結婚してしまえば彼が誕生する未来もないはずです。SF映画でお馴染みのタイムパラドックスの理論です。
しかしセワシは「東京から大阪へ行くのに、乗り物は違っても辿りつく先は同じだ」と主張し、自身が誕生する未来は変わらないとのび太を煙に巻くのです。セワシの理屈は物語の根底を覆す大矛盾ですが、疑問を持たれることはありません。
ドラえもんの連載が始まった1970年当時、小学館は「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」から「小学六年生」と、幼児から小学校六年生までに学年別で学習雑誌を出版していました。ドラえもんは、1970年1月号から「よいこ」から「小学四年生」までの連載が始まります。
第1巻の第1話はそのうちの最高学年の「小学四年生」に掲載されたものです。それから学年が下がることにページ数が減るため、ジャイ子が未来の妻になる設定は省かれています。つまり、ジャイ子が妻になる設定が描かれた第1話は「小学四年生」版だけでした。