【アニメ企画進行中】漫画『ドラゴン、家を買う。』 弱腰ドラゴンの家探しが色々切ない
剣と魔法のファンタジーで、伝説の生物として恐れられる存在、ドラゴン。そんなドラゴンがもしも臆病者だったら……? というifをおもしろかわいく描くマンガが、多貫カヲ原作、絢薔子作画の『ドラゴン、家を買う。』です。アニメ化企画が進行中だという本作のドラゴンらしからぬのんびり(?)ライフに注目が集まっています。
貧弱ドラゴン+建築士(兼魔王)エルフのマイホーム探し
『指輪物語』『ホビットの冒険』『エラゴン』……数々のファンタジー小説で強大な力のシンボルとして描かれてきたドラゴン。ですが、全てのドラゴンがみな凶暴で勇猛だとは限りません。多貫カヲ先生原作、絢薔子先生作画のマンガ『ドラゴン、家を買う。』の主人公・レティは臆病者で役立たず、ある意味「規格外のドラゴン」でした。
筆者の知るドラゴンのイメージは、ドワーフの栄華が咲き誇る城を占拠し、見渡す限りの金銀財宝の中で鎮座するドラゴン。そして勇猛な彼らは、勇者が訪れれば口から火を吹き、強大な敵として立ちはだかる……といったものです。
しかしレティは、人間に立ち向かうこともできず父親に見放され、ひとりで生き抜くことを余儀なくされます。とはいうものの、超貧弱ステータスで飛ぶこともできません。時おり某有名ゲームのイメージを出してくるので、思わずクスリとしてしまいます。
彼が思いついたのは、人間や外敵に邪魔されないマイホームを建てて、平和で静かな毎日を手に入れることでした。あれ、これって日本のサラリーマンの話だったっけ?
マイホーム建築のため、アクティブに活動するレティ。ですが、人に捕まり、他の作品なら捕食対象になるであろうゴブリンや半魚人にも頼らざるを得ない始末。作品冒頭から読者の抱く「強く尊大でかっこいいドラゴン像」を、堂々と壊していきます。
飛ぶことも泳ぐこともできない、羽がついた特大サイズのトカゲさんのようなレティ。ドラゴン相手に「うおーい!」とツッコミを入れたくなったり、「大丈夫かなこの子?」と心配に思ったりする日が来るとは思いませんでしたが、しだいに彼がかわいく思えてくるから不思議です。
そしてレティは勇者に襲われかけていたところを、エルフのディアリアに助けられます。ディアリアは設計事務所と不動産業を兼業し、ついでに魔王でもあるという設定モリモリの人物です。急に現実味のある用語がたくさん出てくるのも、この作品の面白いところ。
これでついにレティのマイホームの夢が叶うかと思いきや、数々の事故物件との出会い、中二病的な二つ名を付けられたり、念願の家が難攻不落の要塞に認定されたり……。いっこうに安息の日が訪れなさそうな、か弱きドラゴン・レティの家探しの旅。彼の声を演じる声優さんは誰なのか、今からとても楽しみです。
(サトートモロー)