アムロが乗った異形のMS「ディジェ」 なぜ「リック・ディアス」を改造? 意外に多い変更点
『機動戦士Zガンダム』第35話に登場したディジェは、ジオン風の機体にアムロが乗っていたこともあり、大きな注目を集めました。リック・ディアスを改造した機体であるディジェですが、そもそも優秀な機体であるリック・ディアスをなぜ改造しなければならなかったのでしょうか。
地上でのリック・ディアスは問題を抱えている?
『機動戦士Zガンダム』第35話「キリマンジャロの嵐」でアムロ・レイが搭乗していたモビルスーツ「ディジェ」を初めて見たとき、「えっ、これにアムロが乗ってるの?」と驚いた方は多かったのではないでしょうか。
元・ガンダム主人公の乗機らしからぬ、モノアイの頭部をもつジオン系のデザイン・色彩の機体は、もともとはエゥーゴがジャブロー降下作戦の際に使用し、地上に残置したリック・ディアスを改造した機体です。リック・ディアス自体がかなり優秀な機体であり、アムロも搭乗して戦果を挙げています。しかし、宇宙用モビルスーツであることを示す「リック」を冠するリック・ディアスを地上で運用する際には、さまざまな問題があり、改造を余儀なくされたと思われます。
リック・ディアスの抱えた問題点をいくつか挙げていきましょう。
まず第一に、脱出機構の問題がありました。リック・ディアスは最新型の「全天周モニタ式」コクピットを採用しており、機体が大破した際にはイジェクション(脱出)ポッドとして機能するようになっていました。この機構はコクピットに直撃さえ受けなければパイロットが無傷で脱出できる利点を持っており、作中でもエマ・シーンやファ・ユイリィが乗機を破壊された際に生還を果たしています。
しかし、イジェクションポット機構は宇宙だからこそ成立する機能です。もし地上で使用すればそのまま地上に落下してしまうため、パイロットは地面にたたきつけられ、ポッドのなかで重傷を負うか死亡してしまうでしょう。13話「シャトル発進」でシャトルの護衛を任されたロベルトがアッシマーに撃墜された際に、胴体中央を撃ち抜かれて脱出できずに戦死していますが、イジェクションポッドが使えないことに死の間際に気付くはめになったのかもしれません。ディジェの脱出機能については特に言及はありませんが、何らかの対応が行われたと思われます。
第二に、冷却機構の問題があります。宇宙の温度はおよそマイナス270度です。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でクェス・パラヤが一瞬とはいえ生身で宇宙空間に飛び出し生存しているのでガンダム世界の宇宙はもう少し暖かい可能性はありますが、おそらく大差は無いでしょう。
モビルスーツのみならず、機械を動かすときには膨大な熱が発生します。熱が溜まりすぎればパーツが膨張したり、回路が溶解するなどして機体にさまざまな不具合が発生する可能性があるのです。宇宙用のモビルスーツであれば周囲に熱を放射することにより簡単に冷却できますが、地上は北極や南極であっても宇宙よりはるかに熱いため、冷却機能が不足した可能性もあるでしょう。