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今思うと死に方に「差」ありすぎ? 『北斗の拳』どっちも師匠思いのサウザーとジャギ

『北斗の拳』に登場するケンシロウは悪の限りを尽くす敵に対して、時に痛みの伴わない技を繰り出して、安らかに死なせる場合があります。ただ、容赦なく死なせる場合との違いが明確ではありません。本記事ではそんなケンシロウが見せた、悪役の仕留め方の違いについて紹介します。

サウザーは痛みなし、ジャギは凄惨な死に方

ジャギが表紙の『北斗の拳 究極版』 4巻(コアミックス)
ジャギが表紙の『北斗の拳 究極版』 4巻(コアミックス)

 2023年9月13日、株式会社コアミックスはマンガ『北斗の拳』の連載開始40周年を記念して、完全新作シリーズのアニメ制作を発表しました。原作やアニメで描かれた世紀末の荒廃した世界から人びとを救うケンシロウの活躍がまた見られることになり、多くの期待の声があがっています。

 そんな『北斗の拳で』悪に対し怒りを露わにして北斗神拳で相手を滅するケンシロウでしたが、時には相手に情けをかけることもありました。なかでも、聖帝・サウザーに対して、ケンシロウは情けをかけて痛みのない死を与えています。それは彼の「師への愛」をくみ取ったからでしたが、同じく「師匠への愛」があったのに悲惨な死を遂げたのがケンシロウの義兄・ジャギでした。

 北斗4兄弟の3男で、北斗神拳伝承者の座を争い敗れたジャギは、納得できずケンシロウを襲撃します。しかし返り討ちにあってしまい、顔を歪まされたジャギは、その後ケンシロウへの復讐を誓い、悪逆の限りを尽くすのでした。

 ただ、ジャギは最初から悪に染まっていたわけではありません。彼の若い頃のエピソードが描かれた『極悪ノ華 北斗の拳 ジャギ外伝』(コアミックス)では、ジャギは赤子の頃に北斗神拳伝承者のリュウケンに拾われ、平和な日々を過ごしていました。当初は、ジャギに北斗神拳を継承する意思のなかったリュウケンでしたが、ジャギの覚悟を目にして伝承者候補として認めます。

 しかし、同じ伝承者候補のケンシロウの実力を知り、ジャギは父親同然に思っていたリュウケンのもとを飛び出してしまいました。そんなジャギを励ましていたのが、幼い頃に知り合った暴走族の少女アンナでした。しかし、そのアンナも酷い暴行を受けて命を落とし、これをきっかけにジャギは「悪の道」に突き進むことになったのです。

 一方、「南斗鳳凰拳」の伝承者で、南斗六聖拳の将星の宿命を背負うサウザーは、父親同然に自らを育ててくれたオウガイを拳法伝承時に殺めてしまいます。その時の哀しい経験から、「愛を捨てて」生きていくことを決意し、その後は「聖帝軍」を率いて勢力を拡大していっていました。抵抗する反帝部隊を率いるシュウを卑怯な手を使って殺すなど、悪逆非道な行いを繰り返します。

 ただ、サウザーの師・オウガイへの思いを感じとったからなのか、ケンシロウが彼に大して最後に選んだ技は苦痛を伴わない「北斗有情猛翔破」でした。ケンシロウから情けをかけられたサウザーは、オウガイの亡骸のもとで安らかに死を迎えます。

 後から考えれば、サウザーのように情けをかけられてもよかったのではと思える背景を持ったジャギでしたが、ケンシロウは全く容赦をしませんでした。考えうる限りの卑怯な手を使うもケンシロウには通じず、苦痛という苦痛を味わったジャギは、最後には頭部が爆発して死んでしまいます。

 マンガ『北斗の拳』本編でジャギの死が描かれた時は、まだ彼の「悲しい背景」の設定はなかった、と言ってしまえばそれまでですが、それでも『極悪ノ華』で描かれた内容は、ジャギの「正式な過去」と言えます。ケンシロウがその過去を知っていたと仮定した上で、ジャギを残酷に殺した理由を考えると、やはりジャギがケンシロウの名を騙って悪さをする、シンにケンシロウからユリアを奪うように促すなどの罪を犯しているため、数々の悪行に激怒したケンシロウが、最期に彼が苦しむような秘孔を突いた、ということでしょうか。

 ジャギもサウザーも、リュウケン、オウガイという師に対して強い想いを抱いていました。それが世紀末の乱れた世とはいえ、悪の道に進むきっかけになってしまいます。両者の悪役としての非道さ、特に子供たちへの仕打ちの残虐さは似ているため、今思い返すと死に方に差を感じるのも確かです。新しいアニメでは、ジャギの設定も以前より固まっているため、彼の死に方がどのように描かれるのかが気になります。

(LUIS FIELD)

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