シャンクスの左腕を奪ったのは「近海の主」ではない? 『ワンピ』1話の見方が変わる「ニカ暴走」説
作中屈指の実力者であるはずのシャンクスは、なぜ「近海の主」ごときに左腕を奪われてしまったのか。その理由についてファンのあいだでは、たびたび議論が繰り広げられてきました。そして最近は、ある興味深い考察がネット上で注目を集めているようです。
懸賞金10億ベリーの事実が生んだ謎
『ONE PIECE(ワンピース)』屈指の実力者であるシャンクスは、幼きルフィを守ろうとした際、その左腕を「近海の主」に食いちぎられてしまいました。とはいえ「近海の主」は、17歳になったルフィが一撃で仕留められるレベルの相手です。「シャンクスほどの男がなぜ海王類ごときに……」と誰もが疑問に思ったのではないでしょうか。
もちろん当時のシャンクスが今ほど強くなかった可能性も考えられますが、2022年8月に公開された『ONE PIECE FILM RED』(以下:『FILM RED』)では、フーシャ村に滞在していた時点で懸賞金が10億ベリーを超えていたことが判明しました。10億ベリーの賞金首といえば、「ビッグ・マム海賊団」のシャーロット・カタクリや「百獣海賊団」の大看板であるジャックらと同じレベルです。となると、当時から相当強かったことがうかがえるため、海王類相手にいとも簡単に片腕を奪われた点はやはり不自然といえるでしょう。
そこで最近、ファンのあいだで注目されているのが「シャンクスはニカの暴走によって左腕を失ったのではないか」とする説です。これは「ワノ国編」で明かされた、「ゴムゴムの実」の正体「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル:ニカ」から生まれたとみられています。
「ニカが暴走する」という根拠となったのは『FILM RED』で描かれた「ウタの凶暴化」でした。作中では、「ウタウタの実」の能力者であるウタが大量の「ネズキノコ」を食べたことで感情のコントロールが効かず凶暴化し、「ウタウタの実」の禁忌の力を呼び覚ましてしまいます。つまり、このときのウタと同様、ルフィに宿ったニカの力が暴走し、シャンクスの左腕を奪ったのではないかと考えられているのです。
思い返せば「エニエス・ロビー編」でも、ランブルボールを無理に服用したチョッパーが「ヒトヒトの実」の能力を暴走させていました。その際に描かれた回想シーンでは、Dr.くれは(ドクトリーヌ)が「“悪魔の実”の……暴走ともいえるね」と明言しています。
こうした前例がある以上、ニカが暴走した可能性もまったくゼロというわけではなさそうです。あるいはその可能性をほのめかすために、『FILM RED』であえて「悪魔の実」の暴走を描いたとも考えられないでしょうか。
「ニカの暴走説」については賛否両論で、「左腕を失った理由がニカの暴走だとしたらめちゃくちゃアツい」「思い返せばカイドウ戦も、ルフィがピンチのときにニカの力が目覚めてたよな」という声もあれば、「そもそもシャンクスが片腕を失すエピソードは担当者の助言で生まれたわけだから、そこまで深い意味はなさそう」といった冷静な意見も挙がっていました。
はたしてシャンクスが左腕を失った背景には、何らかの秘密が隠されているのか、物語がクライマックスに向かっている今、その謎が明らかになる日はそう遠くないかもしれません。
(ハララ書房)