ファミコンとTVを繋いだ「謎のスイッチ」の正体 当時の子供は慣れない工作に苦戦?
ファミコン登場時は、まだビデオ端子すらほとんど無かった
なぜ、ファミコンではRFスイッチが採用されたのでしょうか。主な理由としては、ビデオ端子を備えたTVの普及率がまだ低かった点が挙げられます。1980年にはすでにビデオ端子付きのTVが発売されていましたが、家庭用ビデオデッキの普及率が50%を超えるのは1988年であり、ファミコンの開発時期にビデオ端子接続を選択するのは事実上不可能だったと言えます。
また、先行して発売されたエポック社の「カセットビジョン」がRFスイッチを採用しており、これを流用できるという利点もありました。ファミコンと同時期に発売されたセガの「SG-1000」など、他の家庭用ゲーム機もRFスイッチを採用しており、当時のベストな選択だったのです。
実はファミコン登場以前、任天堂は1977年に発売した家庭用ゲーム機「カレーテレビゲーム6、15」で、「今まで映っていたテレビ放送が映らなくなってしまう」という問題を抱えていました。これはTVとゲームを手動で切り替える際に線が切り替えスイッチから外れてしまうのが原因となっており、のちのRFスイッチにはゲームとTVが自動で切り替わる機能も搭載されていました。
しかしアナログの限界なのか、はたまた子供の未熟な工作技術が原因なのか、今では考えられないようなことが色々起こっていたのもまた事実です。TVが複数ある家でファミコンを遊んでいると、テレビが見られないことがあり、「TVを見るからファミコンを止めろ!」と怒られた方もいたのではないでしょうか。
筆者自身も、なぜか隣の家のTVに自分のゲーム画面が映り込んでおり、次の日学校で「昨日●●のゲームを遊んでただろ」と言われて驚いたことを覚えています。どうしてそんなことになったのか、理由はさっぱりわかりませんが、何もかもが手探りだった時代ならではのエピソードと言えるでしょう。
(早川清一朗)