苦境から奇跡の人気再燃! 「原点回帰」で復活を遂げた3名のジャンプ作家
日々、数々の作品が世に生み出されるマンガの世界で、ヒット作を生み出せる漫画家は一握りです。さらにヒットさせた漫画家でさえも、前作を超えるほどの作品を手がけるのは容易ではありません。今回は、ヒット作の連載終了後に、別作品の連載を経て、原点回帰を果たした結果、人気が再燃した漫画家を紹介します。
原点回帰を果たした漫画家たち

次々と新しい漫画家がデビューするマンガ界において、ヒット作を手にするのはほんの一握りです。さらに一度ヒット作を生み出したとしても、その後の作品が人気を得るとも限りません。
『鉄腕アトム』や『ブラックジャック』などで知られる手塚治虫先生をはじめ、複数の大ヒット作を世に送り出した漫画家もいますが、やはり限られています。そういった巨匠は、ある意味奇跡のような存在と言えるのではないでしょうか。
それでも一度ヒット作に恵まれたなら多くのファンの記憶に残ります。ましてや惜しまれつつ終わった作品の続きが読めるとなれば、喜ぶファンは少なくないはずです。
そこで今回は、かつて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で大ヒット作を生み出したのち、新たな作品に挑戦するも前作を上回ることができず、原点回帰を果たして復活を遂げた漫画家を紹介します。
2023年にアニメの新シリーズの制作が発表された『キン肉マン』の作者・ゆでたまご氏は、その代表格と言えるのではないでしょうか。
『キン肉マン』は1979年から1987年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載された人気マンガです。その『キン肉マン』の連載終了後、ゆでたまご氏は、『ゆうれい小僧がやってきた!』や『SCRAP三太夫』などの新連載に挑戦しますが、残念ながら『キン肉マン』を超えるようなヒット作には恵まれませんでした。
ゆでたまご氏は、「キン肉マン 40周年ポータルサイト」のインタビューで、『キン肉マン』の連載終了後、あえて違うジャンルの作品を手がけた背景について語っています。
ゆでたまご・嶋田氏は、「あらゆるジャンルの作品を描けてこそ一流という考えが大勢を占めてました」と当時のことを語り、ゆでたまご・中井氏はギャグマンガの大家・赤塚不二夫先生が少女マンガ『ひみつのアッコちゃん』を描いたことに「そういうのも描ける懐の深さに憧れはありました」と述べられていました。
しかし結果的に『キン肉マン』を超える作品が生まれず、苦悩の日々を過ごしながら辿り着いた答えは、「格闘技のマンガだけは誰にも負けない」という思いだったそうです。
こうしてゆでたまご先生は一度原点に立ち戻り、1998年から「週刊プレイボーイ」にて『キン肉マンII世』を連載開始、さらに『II世』のあとは再び『キン肉マン』の連載を再開させて脚光を浴びています。