想像以上に深い「スタジオジブリと日本テレビ」の関係 ヒットの陰に「ジブリ愛」熱烈な社員たち
『かぐや姫の物語』の企画を後押し

2011年に逝去された元日本テレビ放送網代表取締役会長の氏家齊一郎さんも、古くからのスタジオジブリ、特に高畑勲監督の大ファンであったと伝えられています。
『ホーホケキョ となりの山田くん』以降、高畑勲監督がしばらく新作を作っていなかったことに業を煮やした氏家さんは、どんな赤字を出しても自分が責任を持つので新作を作らせるようにと、鈴木敏夫プロデューサーに直接言及したそうです。
こうして制作がスタートしたのが『かぐや姫の物語』です。残念ながら氏家さんは完成した作品を観ることは叶いませんでしたが、同作にはその名が「製作」として刻まれています。
また氏家齊一郎さんは2002年から2011年にかけて東京・清澄白河にある東京都現代美術館の館長も務めており、『ジブリの絵職人 男鹿和雄展』などスタジオジブリ関連の展覧会も度々開催しています。
他にも、日本テレビは独自で『ハウルの動く城 大サーカス展』や『スタジオジブリレイアウト展』など、新作映画の公開に連動した展覧会を開催して、作品を体験として観客の記憶に定着させる試みを会社ぐるみで行ってきたのです。
「子会社化」の一報こそ突然ではありましたが、日本テレビは、スタジオジブリがまだ今日のような日本を代表するスタジオになる以前、『風の谷のナウシカ』公開から今日まで、その成長を影で支えてきた存在であり、今回の子会社化は収まるところに収まったといえる提携かもしれません。
この議決が、今後スタジオジブリにどんな影響を与えるかは、まだわかりません。ただ、記者会見での日本テレビ代表取締役社長の杉山美邦さんの「我々はテレビが中心でアニメは素人。ジブリのアニメ制作体制を最大限尊重していきたい」という発言と、スタジオジブリの広報誌「熱風」2023年5月号の記事内のスタジオジブリから日本テレビの映画部に出向して細田守監督の『サマーウォーズ』などのプロデュースを手掛けた高橋望さんの「日テレは他にもアニメーション映画を作ってきたけど、ジブリのやり方が目標になっている」という発言もあることから、唐突な路線変更はないでしょう。
高畑勲監督の逝去、宮崎駿監督の後継者問題など、大きな転換期を迎えているスタジオジブリが、新天地でどのような変化を遂げるのか、今後も注目していきたいと思います。
(倉田雅弘)




