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実写『ワンピース』はルフィの性格違う? 「リーダシップ強め」の声も

原作の魅力を上手に再現したと評判の実写版『ONE PIECE』は、キャストのルックスや演技が素晴らしく、評判を呼んで46カ国のNetflixの視聴ランキングで1位を獲得しました。しかし、一部のファンからは「ルフィの性格が少し違うのではないか?:との声も上がっています。

ルフィという型破りなキャラクターを生身で演じる難しさ

イニャキ・ゴドイ演じるルフィ。ルフィらしい表情の作り方や仕草が凄い。 (C)尾田栄一郎/集英社
イニャキ・ゴドイ演じるルフィ。ルフィらしい表情の作り方や仕草が凄い。 (C)尾田栄一郎/集英社

 2023年8月31日に配信が開始されてから大ヒットし、続編の制作も決定した実写版『ONE PIECE』は、世界中で高い評価を獲得していますが、同時に一部原作ファンからは「ルフィの性格が少し違うように見える」という声もあがっています。この記事では「実写ルフィ」のキャラクター解釈について考察します。

●最初から深みのある人物として描かれている実写版のルフィ

 実写版のルフィと原作のルフィの最大の違いは、海賊団を率いるリーダーとしての内面の有無です。原作の「イーストブルー編」時点でのルフィは海賊王を目指す腕自慢で怖いもの知らずの少年で、あまり内面らしいものがありません。彼の高いモチベーションの源となる過去のエピソードや、苦悩する姿が描かれるのはだいぶ先になってからのことです。

 ルフィという人物の深みが一気に増したのは、義兄エースの死と幼少期の物語が語られてからではないでしょうか。子供特有の万能感が失われ、折れない気持ちだけではどうしようもない現実に打ちのめされて、ルフィは成長しました。同時に過去編での義兄・サボの死(実は生存していた)のエピソードがルフィの背景の物語として、過去に遡って自由を求める彼のモチベーションに説得力を与えたのは間違いないと思われます。

 連載初期のルフィには海賊団を率いる覚悟や、仲間を失う不安を見せる場面などはほとんど見られません。天真爛漫に夢を目指して突き進みます。苦悩しない大食いキャラという点において、原作初期のルフィと『ドラゴンボール』の孫悟空はよく似ています。

●きっかけはゾロの負傷

 実写版『ONE PIECE』では、ゾロが海上レストラン「バラティエ」にて、ミホークに斬られて瀕死の重傷を負った時、ルフィの不安や苦悩が表面化しました。ルフィは意識不明のゾロが横たわるベッドに腰掛け、「ナミが行ってしまった、グランドラインへの海図も持っていかれた。お前も失うかも。お前が必要だ。頼む、目を覚ませ、ゾロ!」と、原作にはない弱気な本音を吐露します。原作でもゾロを心配し、斬られた時は涙を見せていましたが、ゾロが泣きながら二度と負けないと誓った際は笑顔を見せていました。

 実写版のシーンはルフィの性格が弱気に改変されたのではなく、ひとりの人間としてより細やかな演出が追加されたと見るのが妥当でしょう。原作にはない弱音を吐いても不自然さはなく、ルフィらしさも変わりません。

 おそらく初期の原作のルフィをそのまま実写で演じるのは、あまりにも人間としてシンプル過ぎて、不自然に見えるという判断があったのではないでしょうか。祖父の海軍中将・ガープとの関係性が前倒しされて実写版に取り入れられたのも、ルフィに人としての深みを与えるためだと思われます。

 長期連載によって徐々にひとりの人間としての複雑さを獲得していった原作のルフィに対し、実写ルフィは最新の情報から逆算して「駆け出し時代のルフィ」という人物像が設計されているようです。

【画像】「もみあげがまんま」な人もいれば、「鼻や眉毛は現実的になった」人も? 実写版『ONE PIECE』の主要キャラクターを見る(5枚)

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